福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -015/042page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

「表現力を高めるツールとしての活用」

     福島県立福島商業高等学校

1 研究のねらい

 本校3年生の課題研究(総合新科目であり自発 的,創造的な学習態度や問題解決能力を養う)の 中に商業デザインという選択科目を設定している。

 本校における商業デザインは,レタリングの基 礎・POP広告・ポスター等の作品製作を手書き, また,CG(コンピュータグラフィックス)によ り行っている。

<CG導入のねらい>

2 研究の内容

 CG技法を段階的に習得させ,その技法に沿っ た共通の作品テーマを生徒に提示し,自由に作品 製作を行う。

 円の技法を利用する作品製作へのテーマは「雪だるま」と提示する。生徒達は共通の雪だるまを描き,その雪だるまに手を加え,背景等を自由に描きながら独自の作品を完成させていく。独自の作品を完成させるためには,教師からの指導以上の高度な技法が要求される。生徒達は自ら試行錯誤し,互いに教えあい,あるいは教師に質問しながら高度な技法を習得していく。その探究心には驚くばかりである。

 更に,生徒達は互いの作品を評価しあい,良い意味の競争心も生まれてきた。生徒達はこの授業 について,次の観点(生徒の代表的感想を交えて) から楽しさを感じている。

(1)コンピュータ操作性(ハード・ソフト両面)

   ・・・「機械を操る喜び」「速く描け,やり直しがきく」「色彩がきれい」「円や図形が正確」

(2)興味・関心・・・「自分の初めての体験なのでいろんなことを覚えて楽しい」

(3)将来性・・・「将来の職業に生かせる」

(4)自由感・・・「気楽で,自由で,それでいて一生懸命になれる所がいい」「とにかく飽きないで楽しい」

 生徒達はこの授業を通して「コンピュータは楽 しい」と感じ また使い易いツールと考えている。

写真

3 成果・まとめ

 CGを活用することによって,自分の意図した 色彩による表現ができ,さらに調和のとれた配色 を視覚的に認識することもでき,表現力の向上に 結びついた。

 また,コンピュータを表現のためのツールとして使うことにより,生徒達の興味・関心は高まり自発的,創造的学習態度が育成された。

 さらに,多様なデザイン技法,手段を自主的に 学ぶことにより,流通活動の中で,消費者の視覚 に訴えるコミュニケーションの手段としての商業 デザインへの理解を深め,CG活用は将来の職業 人としての資質育成にも結びついたと考える。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。