福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -017/042page
「生徒の学習意欲を喚起するためのインターネットの活用」
葛尾村立葛尾中学校
1 研究のねらい
現在,コンピュータを利用した学習はドリルによる個別学習,応用ソフトウェアを利用した演習,シミュレーションの提示等が中心になっている。さらに,インターネットを活用することにより,全世界に電子メールを出したり,情報を検索し,資料を収集したりすることができ,教育への導入は未知の可能性を秘めている。
本校では,インターネットのさまざまな利用法を明らかにし,授業のどの場面で,どのように利用すれば,生徒の学習意欲を喚起し,学習効果が上がるのかを,実践授業を通して明らかにしようと研究に取り組んでいる。
2 研究の内容 <英語科の実践>
(1)実践の意図
本校ではALTがいないため,生徒に「自分の 英語が英語のネイティブスピーカーに通じた」と いう喜びを味わわせることができない。普段の授 業で身につけた言語材料を駆使し,場面や状況に 応じた適切な表現活動を行うことは,生徒の表現 力を育成し,さらには学習意欲の持続にも欠かせ ないものである。
そこで,海外の人と直接コミュニケーションを することができるインターネットを活用すること は,このような状況を設定するのに最適なもので あると考える。ネット上で生徒は,外国の人とメ ール交換をしたり,様々な提案やアンケートに答 えるなどして情報交換を行うのである。
こうした海外の人々との情報のやりとりを直接行うことは,国際理解を深めることにもつながると考える。
(2)実践の概要
1.授業の内容
- 初めに,インターネットの校内LANを活用し,電子メールの出し方を中心とした授業を実施した。 同時期に担任教師の吉報があったため,担任へお祝いのメッセージを英語で書き,担任へ電子メー ルを送った。
2.生徒の反応
- インターネットに接続されたコンピュータが6 人に1台程度なので,生徒同士がよく協力しあっ ていた。また,メッセージの内容は生徒らしい生 き生きとしたものであった。さらに,英語による 返事をもらうことで,学習の成就感と海外との通 信への意欲が一層高まった。
3.今後の課題
- 実際に電子メールを出す外国人を見つけ,テー マを設定して情報を交換し,同世代の外国人との 交流で発見したものをまとめ,情報として発信で きるように指導したい。
3 研究の成果
英語科で,インターネットを使った実践授業を行うことにより,生徒に驚きや発見を与えることができ,今までにない教育的効果があることが実感できた。しかし,インターネットを教育に生かしていく研究は始まったばかりであり,その利用の方法については試行錯誤の状態である。今後,継続して研究を進め,コミュニケーションツールとして大いに活用していきたいと考える。