福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -023/042page
研究紹介
適 応 指 導 の 在 り 方 に 関 す る 研 究
―HFTクラブ(適応指導教室)での宿泊体験学習を通して―
教育相談部 指導主事 佐 藤 善 則
I HFTクラブ(適応指導教室)の開設
不登校児童生徒が,年々増加傾向にある現状から,県教育委員会では学校生活に適応できない児童生徒の問題の早期解決を図るために「学校適応サポートプラン」を策定した。
この事業の一環として,教育センター内に,H FTクラブ(Heart‐Field for Tomorrow<明 日に向かっての心の広場>)を開設し,不登校児 童生徒の集団生活への適応指導の望ましい在り方 を実践的に研究することにした。
HFTクラブでは,不登校児童生徒の集団生活 への適応を促進し,再登校に向けた効果的な指導 援助の在り方を探るため,個別による指導援助, 集団活動を通した指導援助,家庭及び学校との連 携の在り方の三つを柱にして研究を進めた。
ここでは,集団活動を通した指導援助についての研究を紹介する。
II 集団活動を通した指導援助
不登校児童生徒は,一般に,対人関係がうまくつくれなかったりして,学級集団の中で存在を認められる機会が少なく,心理的に不安定な状態にあると言われている。
このような不登校児童生徒に,集団活動を通し た指導援助で,集団への不適応感を軽減し,集団 活動への参加意欲を高め,協調性や社会性を強化 したいと考え,次のような活動のねらいを設定し た。
ねらい 視点 活動 ○集団化に向けて
- ラポールの形成
- 心理的解放
- 開始・終了の集い
- クリスマス・七夕会
- 栽培活動
宿泊体験学習 ○集団内での安定
- 協調的行動
- 参加意欲
- 制作活動
- 野外活動
- 見学・鑑賞会
○対人関係の醸成
- 自己理解
- 他者理解
- SST
- グループ・エンカウンター
「宿泊体験学習」は,集団活動を通した指導援助の総合的な活動として,取り組んだ。
III 「宿泊体験学習」の概要
1 ねらい
集団生活に不適応感を抱えている不登校児童生徒に対して,宿泊体験学習の場に,遊戯的活動や異年齢の交流による活動を取り入れて,心理的な不安を軽減し,円滑な対人関係づくりに必要な協調性や社会性を学び取らせ,強化することをねらいとした。
2 方法・内容
(1)対象児童生徒
HFTクラブに通級する小学6年生1名,中学 2年生1名,中学3年生2名の合計4名で,年齢