福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -025/042page
【遊戯的活動2】
児童生徒は,最初,衣服が汚れることを気にして,作業を譲り合っていたが,自分たちの思いが作品として形作られるようになってくると,表情が豊かになり,徐々に,活動的になってきた。
ここでは,遊戯的活動が単なる遊びに流されないようにするため,振り返りの中で,児童生徒一人一人に,作品への思いを語らせ,創作意欲を高めながら活動を進めた。
(2)野外炊飯(生活的活動)
1. ねらい
○ 共同作業を通して,集団活動への参加意欲を高め,仲間との交流で円滑な対人関係をつくる。
2. 活動
3. 実践から
【異年齢の交流1】
最初,野外炊飯に必要な作業分担の話し合いを行ったが,負担に思う作業を下級生に押しつける上級生や負担を感じて尻込みをする下級生が出てきた。
そこで,振り返りの中で,一般に,不登校児童 生徒にとって苦手な対人関係を活発にするために, 「自分の気持ちの伝え方と相手の考えの受け止め 方」の方法を下記のようにロール・プレイングで 指導援助者二人がモデルを示した。
- T1 「嫌だなあ,僕,それできないよ!」
- T2 「そうだね,大変だから。でも,D君にやって欲しいんだ。僕も協力するからやろう。」
- T1 「本当?そうだったらいいよ。」
- T2 「もちろんだよ。」
*包丁を使い,不安な手つきで調理する生徒
【異年齢の交流2】
薪割り,かまどの準備等家庭でやらない作業に戸惑う下級生に上級生が協力して手順よく進めて行く。
また,野菜の切り方に思案する上級生に代わって,下級生が大胆に挑戦して笑いを誘う。お互いに力を合わせながら共同で行う体験は,やればできるという自信を生み,積極的な活動への意欲の高まりに結びついていった。
【異年齢の交流3】
苦労して仕上げた野外炊飯後のにぎやかな会食である。
ちょっと多めに盛り付ける下級生の配慮に感謝の言葉を掛ける上級生。焦げ目のないご飯を譲る上級生。仲間意識の深まりとやり遂げた喜びを実感している様子が感じとれた。