福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -027/042page
研究紹介
環境教育への取り組み方の一考察
科学技術教育部 理科教育係 春 日 芳 則
1 はじめに
環境教育のねらいは,1991年3月文部省の発行 した「環境教育指導資料」によると,「環境や環 境問題に 関心 ・ 知識 を持ち,人間活動と環境との かかわりについての総合的な 理解 と認識の上に立っ て環境の保全に配慮した望ましい働きかけのでき る 技能 や 思考力 , 判断力 を身に付け,よりよい環 境の創造活動に主体的に 参加 し,環境への責任あ る行動が取れる 態度 を育成する」とある。
この目標が示すとおり,環境教育はよりよい環 境の創造活動に主体的に参加し,環境への責任あ る行動が取れてはじめて意味を持っものである。
本センターでの環境教育講座の研究協議の中で,環境教育を実践する上での問題点として,「環境教育の体系的なとらえ方がわからない」「環境教育のすすめ方がわからない」等があげられた。
そこで本研究では,児童・生徒の環境問題に関する意識と行動のアンケート調査を基に,環境教育の取り組み方について考察をした。
2 環境に関する児童・生徒の意識と行動調査
環境への責任ある行動へ結びつく要因として, 「ゴミの分別収集」など環境問題についてどの程 度知っているかをみる「環境に関する知識(調査 1)」,自然への感受性につながると考えられる 「小川や田んぼに入る」「井戸水やわき水を飲む」 などの「自然体験(調査2)」,「使っていない 部屋の電気を消す」などの環境を意識した行動を どの程度とっているかをみる「環境に配慮した生 活体験(調査3)」についてアンケート調査をし た。
調査対象は,調査項目の内容と学年発達による 比較の必要性の両面を考慮し,県内各地の小学校 5年生,中学校2年生とした。得られたサンプル は小学校5年生167名,中学校2年生552名である。 調査の方法は,それぞれ3つの選択肢で回答を求 めた。
3 アンケート結果と考察
アンケート結果を調査1〜調査3のグラフで表 した。
また小学校5年生,中学校2年生のそれぞれの 平均の割合も同時に折れ線グラフで同一グラフ上 に表した。
(1)環境に関する知識(調査1)
9項目すべてにおいて「知っている」または 「聞いたことがある」が50%を越えた。項目別で は「リサイクル運動」「エコマーク」など,生活 に関連した項目が高い割合を占め,「地球温暖化」 「海洋汚染」など地球規模の環境問題が下位を占