福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -030/042page

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 またアンケート結果からもわかるように,児童 でも生活の中で環境に配慮した行動をとることが 可能である。小学生に応じた内容の自然を調べる 能力や態度を育成し,できるところから環境を守 る態度や行動を生活習慣として身に付けさせたい。

(2)中学校 ・・・課題解決能力の育成を通して環境を考えさせることを中心に

 この時期には,環境問題にかかわる事象に直面させ,具体的に認識させるとともに,因果関係や相互関係の把握,課題解決能力の育成を通して,環境を考えさせることを主とする。そのためには自然体験の積み重ねが重要である。中学生にも自然にふれる機会を多く持たせたい。

 さらに中学生にもできる環境を守る態度や行動を身に付けさせたい。そのためには事象はできるだけ地域や生活と関わりがあり,自分の生活に返すことができる具体的なものが望ましい。

 例えば「酸性雨」「地球温暖化」「オゾン層の破壊」などの地球規模での課題についても,知識として理解させるだけでなく,その対応について生徒の生活改善の中に求められるように指導することが大切である。

 小学校,中学校の指導の発展として,高等学校については次のような内容が考えられる。

  高等学校 では環境問題を総合的に思考・判断し 賢明な選択・意思決定が行えるような学習活動を 行い,環境保全,環境の改善に主体的に働きかけ る能力や態度の育成を主とする。地球規模での環 境問題にまで目を向けさせ,その解決のためには どのような行動をとればよいのかを考えさせると ともに,地球環境を配慮した問題解決への意欲・ 態度・実技力を養うことが大切である。

 この場合も自然体験の積み重ねを通して得られた感受性や環境を考えることが基礎となって,環境への主体的な働きかけが行われると考える。従って,高校生に対しても自然にふれさせる指導や環境を考えさせる指導が必要である。

 これらのことをまとめて概念図で表すと,下図 のようになる。

環境要素と学習量
環境3要素と学習量

 多様な自然体験によって育った豊かな感受性と多くの環境情報によって,関心や意欲が高まり,それが環境について考える原動力となり,さらには日常生活の中での環境に配慮した行動となって現れるものと考える。

5 おわりに

 学校における環境教育は,自然にふれる機会を多くもつ中で,環境について考えさせ.それらを基にして生活の中での行動や態度の変革を促すことをめざすものである。どの教科においても教師の意識の高まりから教科の内容と関連づけて具体化していくものと考える。

 本県は自然が豊富であり,この豊かな自然環境 を守り,大切にしていく心や態度を育てるために も小・中・高と体系化された指導計画の基に環境 教育を進める必要があると考える。

<参考・引用文献>


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