福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -031/042page

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研修者研究報告

文 学 教 材 の 読 み を 深 め る 指 導

−話し合い活動における支援の工夫を通して−

 

郡山市立柴宮小学校教諭   菊 地 健 児

I 主題設定の理由

 1. 研究の動機とねらい

   自分自身のこれまでの文学教材の授業実践 を振り返ってみると,一人読みでは文章から 離れた主観的な読みになってしまう児童が多 く,誤った読みや根拠のない読みとなってし まっていることが多かった。また,一人読み の後の話し合いの場面においても,個々の考 えを述べさせるだけに終始してしまい,読み の違いに着目し,読みの磨き合いをさせたり, 読みを広めさせたりすることができないこと が多かった。以上のことから,一人読みに基 づいた話し合いにおいて,読みを深めさせて いく指導を追求していくことが児童にとって 最も必要であると考え,本主題を設定した。

 2. 問題点

 (1) 自分自身の読みを意欲的に発言できない児童が多い。

 (2) 読み取りが浅く,読み深めることができない児童が多い。

II 研究仮説

 1. 仮説

   文学教材の学習において,一人読みで読み 取った児童一人一人の読みから,読みの違い の表れている点に着目し,児童に読みの違い を明確にとらえさせ,話し合い活動による読 みの磨き合いを支援していけば,児童は読み を深めていくことができるであろう。

 2. 仮説のための理論

 (1) 「一人読み」とは

    これまで培ってきた読みのカをもとに,児童が自分なりに教材を読み取ること。

  1. 読みの視点にそった自分の読みのまとめ
  2. 学習課題に対する自分の読みのまとめ

 (2) 「読みの違いを明確にする支援」とは

  1. 一人読みで読み取った内容を座席表にまとめ,類別しておく。
  2. 読みの傾向の同じ児童に続けて発表させる。
  3. 読みをまとめ,黒板に板書する。

 (3) 「読みの磨き合いの支援」とは

  1. 自分がどの読みの立場に立っているのか明確にさせる。
  2. 自分の読みを根拠をもって説明できるようまとめさせるとともに,他の読みに対する意見をもたせる。
  3. 他の読みに対する意見を発表させ,自分の読みを主張させる。
  4. 正しく読み取れることなのか,または誤った読み取りであるのかについて確認

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