福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -032/042page

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   させる。

(4) 「読みを深める」とは

   児童が一人読みでもった読みを話し合い を通して確信を持ったり,読みを改めたり 他の読みを認め考えを広めたりすること。

III 検証授業の実際と考察

1.本時までの取り組み

  読みの視点を設けた後,視点をもとにした 一人読み(資料1)を場面ごとに行った。そ して,この一人読みから出された疑問を中心 として,グループ学習で話し合い,場面ごと の読みを深めさせるとともに,学級全体で話 し合いたい課題を作った。課題作りの後,こ の課題に対する一人読み(資料2)をさせる ことにより課題に対する各自の考えをもたせ 話し合いに臨ませるようにした。

(資料1) (資料2)
(資料1)視点をもとにした一人読み (資料2)課題に対する一人読み

 2. 検証授業【1】

 (1) 題材名「大造じいさんとガン」(9/13) 

 (2) 本時のねらい 

  (3) 学習過程

段階

学習活動・内容

時間

○教師の支援 ●評価

仮説との関連

自分の読みを持つ 1.本時の課題をつかむ。

(1)物語の読みの視点を確認し,本時の学習場面をとらえる。

(2)本時の課題を提案する。

《銃を下ろした大造じいさんの気持ちを読み取ろう》

 

 

7 ○読みの視点 『情景を思い浮かべながら,残雪に対する気持ちの移り変わりを読み取ろう。』を確認し, 残雪を撃つのに絶好の場面であることを確認する。  

○児童から課題の提案をさせ,話し合いの方向づけをする。

●学習課題をとらえることができたか。(観察)

○助言を書き込んでおき,多くの児童が発言できるようにする。
読みを深める 2.銃を下ろした大造じいさんの気持ちについて話し合う。

(1)一人読みで持った個の読みを発表する。

(2)児童の発表から,読みの違いをとらえる。

(3)大造じいさんが銃を下ろしたわけについて話し合う。

《予想される児童の読み》

  1. 残雪の行動に感動したため
  2. ひきょうな戦い方と感じたため
  3. おとりのガンを助けたかったため
  4. 残雪がハヤブサにやられると考えたため
28 ○一人読みのノートに教師の助言を事前に書き込んでおき,多くの児童が発言できるように促す。

○児童にとらえやすいように意見を類別して板書する。

○児童の読みをまとめた板書の中に児童に氏名を書いた磁石をはり,誰がどの考えであるのか明確にする。

○一人読みに基づいて個の読みの根拠を発表させる。

●一人読みをした内容を進んで発表しようとしているか。(発表)

○それぞれの読みが大造じいさんの気持ちとして誤ったものではないのかを問い,他の読みに対する考えをもたせる。

○他の読みに対する意見をを述べさせるとともに,自分の読みを主張させる。

○どの読みが大造じいさんの気持ちとして正しく読み取れるのかまとめる。

○事前に座席表にまとめておいた児童の一人読みをした結果を基にして,多様な意見が出るように指名する。(□1○1)

○読みの違いがわかるように児童の読みをまとめって構造的に板書するようにする。(□1○3)

○座席表にまとめた結果から挙手しない児童についても,励まし発言を促す。(□1○2)

○氏名を書いた磁石をはっていくことにより,各自の立場を明確にするとともに,話し合いを生かせるようにする。(□2○1)

○少数の児童の考えから順に読みの種類ごとに発言させていく。(□1○2)

○読みの根拠を一人読みの際にノートにまとめさせておく。(□2○2)

○他の読みに対する自分の考えを明確にさせる。(□2○2)

○根拠となった言葉がどれであるのかはっきりさせて考えを発言させる。(□2○3)

○読みの誤りをまとめ,正しく読み取れることを確認する。(□2○4)

読みを見つめ直す 4.本時の学習のまとめをする。

(1)撃つのをやめた大造じいさんの気持ちについて読み深まったことをノートにまとめる。

(2)大造じいさんの気持ちや情景を思い浮かべながら朗読する。

10 ○本時の学習により,読み深まったことをノートにまとめさせ,自分の読みの変容をとらえさせる。

●話し合いにより深められた読みをノートにまとめることができたか。(ノート)

○読み深められた内容が表れるように工夫しながら朗読できるようにする。

○学習確かめカードにより,本時の学習を振り返り,自己評価する。

 

 (4) 指導の結果

   i. 「読みの違いを明確にする」段階 

  •  ア おとりのガンを助けようとする残雪の行動に感動した。 
  •  イ 今撃ってしまうことは,ひきょうな戦い方と感じた。 
  •  ウ おとりのガンを助けようと考えた。

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