福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -034/042page
- ア ハヤプサと戦うなんて,勇気があるやつ だ。
- イ けがをしても立ち向うなんて,すごいやつだ。驚いた。
- ウ なんて素晴らしいやつなんだ。感動して いる。
- エ ただの鳥ではなく,人間に対しているよ うだ。
ii.「読みを磨き合わせる」段階
- 児童から出された多様な読みの理由を 発表させていき,根拠となっている言葉 を板書していった。根拠として出された ものは,主に次のような内容であった。
- ア 「いきなりハヤプサにぶつかってなぐりつけた」とあるから。
- イ 「むねの辺りをくれないにそめ」ながらも,「長い首を持ち上げた」とあるから。
- ウ 「じいさんを正面からにらみつけた」とあるから。
- エ 「じいさんが手をのばしても,じたばたさわがなかった」とあるから。
- オ 「ただの鳥に対しているような気がしない」とあるから。
- そして,「最期」などの意味を確認し ながら残雪の行動に対する大造じいさん のそれぞれの気持ちを読み取っていった。 話し合いの中で,互いの読みに対する意 見や質問が出せるよう支援したが,誤っ た読みと思われるものが無かったことか ら,子ども達の中から意見は出されず, それぞれの読みを全員で認め確認した。 最後に,「強く心をうたれてただの鳥に 対しているような気がしませんでした」 という文から,大造じいさんが残雪の勇 気や頭領らしい態度に感動を深めていきまるで同じ人間と対しているような気持ちにまで高まっていることを確認した。
4. 考察
児童の読みの変容をとらえるための,事前 事後テストの結果から,児童の読みが深まっていることがわかる。(資料3)
また,自己評価の結果からも児童自身が読みを深めることができたと感じていることがわかった。
IV 研究のまとめと今後の課題
1. 研究のまとめ
(1) 一人読みで,自分なりの読みを全員にも たせることにより,子ども達が根拠を明確にして自分の読みを発表することができる ようになってきた。
(2) 読みの種類ごとに板書し,児童に自分の 読みの立場を明確にさせて氏名を書いた磁石をはらせたことにより,話し合いに意欲的に取り組む児童が多くみられた。
(3) 話し合い活動における読みの磨き合いを支援することにより,友達の読みに目をむけ,その良さに気付かせることができた。
2. 今後の課題
(1) 一つの課題で読みの磨き合いをさせていく場合,課題や話し合う内容について事前に十分検討しておく必要がある。
(2) 話し合い活動での,友達の意見に関連させた話し方について支援する必要がある。