福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -036/042page

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□「体験させる」

□「一人一人の思いを生かせる題材」

□「色彩感覚や表現力の高まり」

III 研究計画

 1 研究内容

  1. 生徒が興味を持って取り組める混色練習の内容・方法の検討。
  2. いろいろな彩色方法を効果的に体験させる内容・方法の検討。 
  3. 一人一人の思いを生かし,主体的に色彩表現ができる対象の設定,指導過程の工夫。   
  4. 生徒の変容のとらえ方の工夫

 2 研究対象

  1年3組(男子18名,女子16名)

IV 研究の実際と考察

 1 検証授業計画

 ○題材名 「木の声を聞こう」

 ○題材の目標

木の形や色の美しさに気づき,それを自分の思いで描き表すことができる。

 ○指導計画(総時数 10時間)

本時にねらい 評価の視点 仮説との関わり
1 2時間 ○樹木を視察して,それを率直に描き表す。
  • 読み取り
  • 興味,関心の喚起
  • 描く対象の決定
  • 対象のスケッチ,彩色
○構図や彩色を工夫しながら対象をスケッチし自分の考えで表現しようとする。 ○体験学習,イメージの表現後に彩色したものと比較検討するため,説明を控え,生徒の今までの経験を基に意欲をもって行わせる。
2 1時間 ○多彩な色や様々な彩色の仕方に気づき、自分の色彩表現の課題を把握する。
  • 参考作品の鑑賞
  • 自己の課題の把握
○参考作品のよさを味わうとともに,色彩表現に興味を持ち,自分の色彩表現の課題を明確に仕様とする。 ○自分の色彩表現のよさや問題点に気づかせ,参考作品と関連した彩色についての説明で,次の過程への意欲づけを図っていきたい。
2時間 ○色のつくり方や様々な彩色の方法を理解し,体験する。
  • 多彩な色や彩色方法の理解
  • 色を増やす練習
  • 様々な彩色方法の体験
○混色の方法や彩色の様々な方法について理解し,興味を持って工夫しながら,彩色を行おうとする。 ○できるだけ数多くの色作りや彩色の方法を興味を持って体験させる。
3 1時間 ○体験学習をもとに,季節感やイメージを考えて彩色する。
  • 季節感やイメージの決定
  • 体験学習を生かした表現

 

○体験的な学習やイメージの表現を生かしながら,工夫して表現しようとする。 ○前時の体験的な学習を生かすため,ワークシートに季節感や自分のイメージで彩色させる。
検証A
4 3時間 ○樹木を再度観察し,自分の思いで描き表す。
  • 描く対象の決定
  • 観察,スケッチ,彩色
○体験学習の前に描いたものとあとに描いたものを比較検討して,観点に従って反省する。 ○色彩感覚や色彩表現力の高まりを実際の彩色に生かしながら表現させる。
5 1時間 ○友達や自分の表現のよさに気づき,色彩表現のまとめをする。
  • 相互評価
  • 自己評価とまとめ
  ○体験学習の前と後(1次と4次)の表現を比較することで,色彩感覚や色彩表現の高まりを確かめさせる。
検証B

*上記2,3の段階においては,生徒の実感や制作の様子などを考慮して,弾力的に進めていきたい。

 ○検証授業案A

  ◇本時のねらい

イメージを表現する過程において,自分で課題を決定し,体験的学習で得たことを生かしながら彩色することができる。  

  ◇指導過程

段階 学習活動・内容 時間 ○教師の支援 ●評価 仮説との関連
課題をつかむ 1.本時の学習課題をつかむ。

 (1)体験学習で得たことを確かめる。

  • 色,彩色方法

 (2)本時の課題を設定する。

10分 ○生徒の行ったものの中からいくつか抽出し,確かめる意味で提示する。

○「春」,「秋」などの季節を選ばせる・

●季節を自分の考えで決めることができたか。

○「寂しい感じ」「嵐の感じ」などのイメージを決めさせる。

●自分のイメージを決めることができたか。

○よさに気づかせることで,さらに意欲の高まりが期待できる。

○色の感情の中で,比較的考えやすいと思われる季節感を表す色で行わせるなど,課題を自分で設定することで,思いを大切にできる。

見通す 2.解決の見直しを持つ。

 (1)自分の課題を確かめる。

 (2)見直しを立てる

5分 ○体験学習で行ったことを生かしながら彩色していくことを確かめさせる。

○ワークシートに彩色することを知らせる。

●使う色や彩色の方法を選ぶことができたか。

○体験学習で得たことを実際の色彩表現に生かすためには,この段階がとくに大切であり色や彩色の仕方を自分で決定させ,ワークシートに彩色させる。
解決する 3.見通しをもとに自分の力で解決に努力する。 27分 ○途中で互いの表現を鑑賞する時間を設定し,自分の表現をさらに検討させる。

●色や彩色の仕方を工夫しながら彩色できたか。

○他人の表現力を鑑賞し自分の表現を見直すことで,工夫がなされ,よりよい表現を目指すことが期待できる。
まとめる 4.まとめをし,本時の学習について反省する。 8分 ○小集団ごとに相互に鑑賞させて自分の表現をみつめさせる。

●友達の表現のよい点を述べることができたか。

○比較鑑賞し反省することで,色彩感覚や表現力の高まりがよりはっきりと確かめられる。

 ○検証授業案B

  ◇本時のねらい

前表現と後表現を比較鑑賞することで 自分や友達の色彩表現のよさに気づき,色彩感覚や色彩表現の高まりがわかる。


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