福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -037/042page
◇指導過程
段階 学習活動・内容 時間 ○教師の支援 ●評価 仮説との関連 気づく 1.本時の学習課題をつかむ。 (1)反省をしてまとめることを知る。
(2)自己反省をする。
15分 ○前表現(1次)と後表現(4次)を比較しながら反省することを知らせる。 ○用紙に記入させる。
●項目ごとに反省できたか。
○色彩感覚や色彩表現の高まりを比較鑑賞し, 確かめさせることで,次の本格的な絵画表現へと結びついていくものと思われる。 深める 2.互いの表現を鑑賞し,話し合いをする。 (1)グループごとに友達の作品を鑑賞する。
(2)話し合われたことをもとにしてまとめをする。
25分 ○自己反省をもとにして,友達の表現のよい点をそれぞれ述べさせる。 ●友達の表現のよい点を見つけ,発表できたか。
○友達の考えをもとにして,反省用紙にまとめさせる。
●自分の表現のよい点が把握できたか。
○他者の表現のよい点を指摘したり, 友達の考えを聞いたりすることで,自分の表現を深く見つめることができる。 ○自分では気づかなかったよさなどについてまとめることで,さらに深く反省できる。
まとめる 3.本時のまとめをし,本時の学習について反省する。 (1)友達の作品を鑑賞する。
10分 ○生徒の中から抽出した表現や反省を提示し,色彩感覚や色彩表現の高まりを確かめさせる。
○抽出した作品を鑑賞させることで,表現の高まりがよりはっきりと確かめられ, 次の表現に対する意欲づけが図られるものと思われる。 2 検証授業の実際と考察
○検証の観点
- 一人一人の思いを生かせる対象や指導過程であったか。
- 体験的学習が色彩感覚や色彩表現力を高めるのに効果的か。
- 前表現と後表現の比較鑑賞の過程が自信と意欲の形成を図っているか。
○指導の概要
◇対象の設定・指導過程について
木は生命力が感じられ,描く対象として魅力があると同時に,比較的表しやすいものである。そのため,どの生徒にとってもある程度の表現が可能であり,描く楽しさや満足感を十分味わわせることができるものと思われる。
そして,描く対象と過程を次のように関連づけることによって,表現意欲を持続させながら段階的に表現力が高められるように工夫した。
- 『前表現』
校地内の木を描かせた。
- 『体験的学習』
自分の描いた「木」の輪郭 。
- 『イメージの表現』
幹や枝を描いたワークシート 。 (立ち枯れした木を描いたものである。「葉をつけてあげよう」という 呼びかけで意欲を喚起した。)
- 『後表現』
校地内の木を再度描かせる。
◇体験的学習
- 『混色練習』
(透明・不透明,にじみ,重色など)
基本となる色を数色選ばせ,いろいろな色を混ぜて多くの色をつくり出したり, 水の分量に注意してさまざまな色の変化をつくり出した。
- 『彩色方法』
絵の具以外の描材 (クレパス,コンテ,インクなど) 絵筆以外の用具 (スポンジ,紙,指など)
◇イメージの表現
- 『季節感』
(初夏,晩秋など)
- 『その他』
(楽しい感じ,嵐の感じ,夕方の感じなど)
◇後表現
- 「木」の周りの対象も描かせることで今まで学習してきたことを応用させたいと考えた。(空,地面,家など)
◇比較鑑賞
- 自己評価・相互評価をさせながら,色彩表現力の高まりを確かめさせ,個性の認識や自信の形成を図り,次表現への意欲づけに結びつけたいと考えた。
□考察
A. について(対象・指導過程)
おおかたは意欲を持って表現できたよう である。体験的学習に入ってから徐々に関 心が高まってきたことが感想からわかる。 しかし,だんだんと表面的な表し方になり