福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.118(H08/1996.7) -007/042page
めなど教育をめぐる諸問題の克服、21世紀に生 き、未来を創造することのできる心豊かでたく ましい人間の育成等、様々な国民的要請に応え るため、現在教育改革が進行しています。
そのような中で、学校教育が大きく変わるた めには、何よりも日々の子供と直接的な接点を 持ち、学校教育の中軸をなす授業の担い手であ る教員の一人一人が変わらなければ学校教育が 変わるはずはないと言われています。
このようなことから、今年度は、教員の資質 の向上や研修の重要性にスポットを当て、「学 校が自校の教育課題解決のため行う授業改善の ための校内研修」を特集題として取り上げるこ とにしました。
【学校における校内研修の現状】
佐久間 まずはじめに、「学校における研修の 現状」についてご意見をお聞かせください。問 題点や課題をあげるとしたらどのようなことが あげられるでしょう。
網 代 小学校では、自校の教育課題の中から 特定の共通テーマを設定し、一つの教科を対象 とする研究を全職員で進めるのが一般的ですが、 そのよさを十分認めつつ、そこに次のような問 題点があることを指摘したいと思います。
第一は、テーマや対象が狭いため、学校教育 の内容・環境の変化や学校への内外の多様な要 請に十分対応しにくいこと。
第二は、様々な職員すべてに同様の内容と水 準が求められがちで、個々の関心・必要・能力 に即応できず個性の発揚を促しにくいこと。
第三に、研修主任等特定の職員がよくも悪し くも研究推進に大きく関わって研究の成否を左 右しがちであり、その指導性が強くても弱くて も問題を生みやすいこと。
第四に、同人に相互の頼り合い等が見られて 主体性が希薄になったり、研修時間の制約や人 間関係等による安易な妥協から研究姿勢が甘く なりがちであること。
第五に、これは強調したいのですが、職員個々 が抱く 《教師生涯をかけた発達課題の達成》や 《自己実現》、《職場における自己存在感》や 《貢献意識》、《研究を自ら開発する喜びや成 就感》・・・これらは総じて教師の《生きがい》 に つながるものでしょうが・・・、こうしたものの形 成に必ずしも最適ではないこと。
こうした視点から、今、校内研修を見直す努 力は不可欠だと思うのです。
松 崎 校内研修は、教育目標具現のための課 題解決方法の一つであり、また教員の職能の向 上には欠かせないことです。 その点では校内研修は最も大切なことであり、 わたしは、学校経営の第一義に考えております。
ほとんどの学校は「共同研究」の形で推進さ れているかと思いますが、教職員のニーズも多 様化し、年齢層も変わってきているので、内容 や運営の面では工夫が必要ですね。 また、書店の方の話によると、先生方があま