福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.118(H08/1996.7) -035/042page
以下は、授業後の生徒に対するアンケート調 査結果の一部である。
観察・実験の計画を立て、事前に予備実 験を行った生徒が先生のように指導や助言 を行うことについてどう思いますか。
- 一生懸命教える態度がよい
- 生徒が主体的に取り組むのでよい
- 責任感が出てきた
など、肯定的な回答・・・・・・32名(39名中)
このような方法を今後も継続して欲しいですか。
- 欲しい・・・・・・・・・・・・37名(39名中)
このような観察・実験は楽しいですか。
- ・楽しい・・・・・・・・・・・32名(39名中)
6 学んだものを生かす場面を取り入れた指導
(中学校・理科・3年)「活動する大地」の単元の学習が終わった後 で、学んだものを基に自然事象の中に課題を見 つけ出させ、班をつくって調べさせる発展学習 を行わせた。
<生徒が選んだ課題)>
- 「会津の昔の地震調べ」
- 「磐梯山の噴火について」
- 「地震計を作る」
- 「阪神大震災と関東大震災との比較」
など、合計9テーマ
学習のすぐ後で、予備知識を持って取り組ん だため生徒の関心は高く、活動も意欲的だった。
また、発展学習の後での単元テストの成績も よく知識・理解の定着の面でも効果があった。
次の図は、課題への取り組みの意欲の傾向と 単元テストの関係を調べたものである。両者の 相関係数は0.60と高く、意欲的に取り組むこ とができた生徒ほど成績もよいことがわかった。
意欲と単元テスト成績との関係
III まとめ
これらの実践から、意欲的に学習に取り組む ことができた児童・生徒ほど知識・理解の定着 もよいことが明らかになった。
また、児童・生徒の学習意欲を持続させるた めには次のようなことがポイントになることが わかった。
○ 授業は教師と個々の児童・生徒との間の信 頼関係の基に成立するものである。この信頼関 係の基に、児童・生徒の思いや願いに応えるよ うな形で授業が行われるとき学習意欲は高まっ てくる。従って、学習意欲を持続させるために は、教師は常に、児童・生徒の支援要求に応え る姿勢を持って個別に支援しながら授業を進め ることが必要である。
○ 学習内容が「わかった」、「できるように なった」ときには、よろこびと同時に意欲もわ くものである。その意欲を持続させ自主的な学 習に取り組ませるためには、この単元を何のた めに学ぶのかという学習することの意味を理解 させたり、新たな課題解決のために学んで得た ものが役に立っという体験をさせたりすること が必要である。