福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -004/042page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 こうした内なる心的高まり(内発的動機づけ)なしには、自らの教育力を高める真の研修は成立しないに違いない。

 そして、研修へのこのような渇望感や強い意欲が生まれるためには、少なくとも、
 〈a〉自分自身や子供の実態がしっかりととらえられていること(現状の認識)
 〈b〉こうありたいと願う姿や進むべき方向が、明確に思い描かれていること(目標の明確化)
 〈c〉 a<b つまりbに比してのaの落差の大きさを実感していること(現状打破への意欲)
のような状況の存在が前提となってこよう。
「こうしたいのだが自分にはその力が十分備わっていない。何とかしたい。」
「このようなレベルにまで高めたいが、自分の学級は程遠い。どうすればよいのだろう。」

 そうした状況の中で、児童生徒への深い愛情と高い使命感に支えられて研修への意欲がかき立てられるものと考える。

 そして、自分自身や子供の状況が十分でない事を認識させてくれたり、そうなりたいと願う理想の姿を提示してくれたりする又とない機会となるのが校内の共同研究であり、先進校の研究公開であり、行政による研修であり、研究や実践にかかわる文献である。

 ただ、校内の共同研究にせよ行政による研修会にせよ、一人一人の教師の真の教育力を高めるという視点から言えば、一つのきっかけでしかあり得ず、教師の高い教育力は、前述したように使命感や教育愛、専門的な力量、人間性等が渾然一体となったものとして一人一人が夫々高めていく以外にないのである。

4 学校における教育研修の課題

 質の高い研修を実現するためには、学校は現在多くの困難な課題を抱えており、その解決に努めなければならない。

 (1)研修の個性化、個別化

  やや古い資料ではあるが、次の表は、昭和55年、兵庫県教育委員会の「教員の研修に関する調査」の結果である。(註3)

校内研修の行われ方
1 学校
として
2 学年
・教科領
域で
3 グル
ープに
よる
4 個人
的研修

その他
小学校
中学校
高等学校
91.1
74.8
25.2
5.4
21.8
47.3
2.1
1.5
13.0
1.1
1.9
12.2
0.3
1.5
2.3
*1のうちで、学校全体で行う研究は
 ●公的機関の指導によるもの
   小学校 39.5% 中学校 45.0% 高等学校 40.5%
 ●学校独自の計画によるもの
   小学校 77.9% 中学校 75.6% 高等学校 64.1%

 この表から、小、中学校では「学校として」の全体研究が圧倒的に多く、高等学校では「学年、教科領域で」が多くなっている事が分かる。おそらくこうした傾向は本県においても同様であろうし、各校種の特徴を反映していて望ましいものと考えるが、いずれの方法による場合でも、集団の中に個が埋没する事があってはならず、一人一人の教師の個性や特性が生かされるよう配慮されなければなるまい。

 (2)研修機会の拡充

 一人一人の教師の個性やニーズに応えるためには、優れた研修の機会も又、多様に用意されなければならない。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。