福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -014/042page

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◇シリーズ


 「豊かな学力」を育てるために  第2回 

考えや意見を伝える力を育てる国語授業

教育センター学習指導部

 

1 発表に自信がない

 教室の子どもたちは、どんな気持ちで発言や発表をしているのだろうか。

 当センターは、平成6年度及び平成7年度に小・中学校の児童生徒に「学習に対する意識と行動」のアンケートを実施した。(註1)小学生に対して、「物語の学習で話し合いのとき、発表したり、質問したりすることがどのくらいあったか」という設問では、「よくある」「ときどきある」をあわせても50%に満たない結果であった。(図1参照)「あまりない」「ない」と答えた児童に,発表しない理由をたずねると、

「自分の考えがまちがっているのかもしれないから」という答えが70%を占める結果となった。(図2参照)

図1 図2

 授業中、発表したくても自信が無くてできないでいる子どもたちの姿が見えるように思う。

 自らの言葉で考えたり想像したり表現したりする力は、国語科においてこれから特に身につけなけらばならないものである。情報化・国際化が進むこれからの社会において、人前で自分の考えや意見を述べることが、ますます必要とされる。しかし、その訓練の場というべき授業において、児童が発表の意欲を持ちながらも、まちがいを恐れて発言できないという現状がある。

 そこで、「豊かな学力」を育てるための1つの試みとして、児童が発表に積極的に参加し自分の考えや意見を伝える力を育てる国語の授業の在り方について探ってみたい。

2 発表の意欲をさまたげている要因を探る

 児童生徒が発表しようとするとき、その意欲をさまたげているのは何だろうか。教師側から考えて、次の3つの場合が考えられる。

 1つめは,話すべき自分の考えや意見が見つからない場合である。教材の理解不足や自分の生活体験が不足していることなどの理由が考えられる。

  2つめは、心理的な要因である。前述のように「まちがえるとはずかしい」「こんなことを


(註1)「福島県の中学生の学習に対する意識と行動」平成6年度センター「紀要」、「福島県の小学生の学習に対する意識と行動」平成7年度センター「紀要」に所収。


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