福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -018/042page
《全体での繰り返りの場面》
担 任:今日は『目隠しジョギング』というゲームをしました。
感想はどうかな?サル君はどう?
マサル:目隠しをしてるとすごく不安でした。でも、みんなの声の通りに歩いたらちゃんと目標の友達へたどりつけてうれしかったです。
担 任:そうだね、 友達の声が、見えないという不安を小さくしてくれたんだね、 きっと。カオルさんはどうかな?
カオル:私も最初は不安でした。でも、今は友達を信じるしかないと思いました。そうしたら大丈夫でした。だから、その後で声をかける方になったときは、大きな声で方向を教えてあげました。
担 任: 立場が替わったときに、勇気づけられた経験を生かせたんだね。 すばらしいなあ。
タケシ君はどうだった?
タケシ:………僕もマナブ君の手に触れたときはほっとしました。 でも、………正直に言って、僕は最後まで不安な気持ちがしました。別に、みんなが嘘の方向を教えていると思ったわけではないけど………。
担 任:………う〜ん。 タケシ君は不安が最後まで残ってたんだね………。
3 学級活動を終えて
このゲーム(実習)の振り返り用紙を集計したところ、大部分は「楽しかった」「信頼の大切さを感じた」というものであった。しかし、何名かの生徒は「あまり楽しくなかった」「人を信じることは難しかった」と書いていた。(タケシもその一人であった)
「合唱の歌声はずいぶん大きくなりました」という報告が、ハルキとノゾミから担任に伝えられた。だが、担任の心には 『歌声が大きくなればそれでいいのか』『信じることに難しさを感じている生徒をこのままにしておいていいのか』『ゲーム(実習)以外に方法はないのか』 という思いが残った。
担任は今まで頼りにしていたマニュアル本を脇に置いて、『ともかく、一人ひとりの気持ちを率直に聴いてみよう』と考え,10月の半ば、学級の生徒たちに次のような提案をした。
『思いでづくり』について話し合おう
先生はみんなに中学校でたくさんの思い出をつくってほしいと思っています。そこで、「思い出づくり」についてみんなで話し合う機会をもとうと考えました。
〜校内合唱祭を半月後に控えて〜
10月〇日の帰りの学級活動の後、時間は30分です。間近に迫った校内合唱祭を中心話題にして、みんなで話し合ってみましょう。参加は強制ではなく希望です。希望者が多い場合は何班かに分けて実施します。
先生も、クラスの一員として参加したいと思います。