福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -019/042page
話し合いには8名の生徒が参加した。5名は自ら希望しての参加であった。担任は強制はせず、先のゲーム(実習)で「信じることは難しい」と感想を書いた数名の生徒に参加を促してみた。その結果、3名の生徒が話し合いに参加した。(タケシもその一人であった。)
《グループでの話し合いの場合》
:
ハルキ:賞はもらえたらそれにこしたことはないけど、みんなが楽しく歌えたと思えればいなあ。
サチコ:どうすれば楽しく歌えるのかな?
ノゾミ:私たちの選んだ曲は明るい曲だから、元気よく歌えるといいんじゃないかしら?
キミコ:元気のよさなら、私、自信がある。任せて!
タケシ:………僕は、自信がないなあ。
キミコ:どうして?
タケシ:だって、大きな声出すの、恥ずかしいし………。
ノリオ:俺も。
ヒロミ:………裏切る人がいるもんえ。
担 任:裏切るって、どういうこと?
ヒロミ:合唱でけじゃなくて、清掃とかグループ学習のとき、さぼったり、自分勝手だったりする人がいる。
担 任:ふ〜ん、そうなんだ。
カズコ:でも、いつもそうとはかぎらないんじゃないかなあ。
ヒロミ:それはそうね。
タケシ:……… 信じるっていいことだけど、エネルギーがいるよなあ。
:
4 エネルギーを蓄える
「信じるっていいことだけど、エネルギーがいるよなあ」というタケシの一言が担任の心にずしんと響いた。『信じたい気持ちはみんながもっているようだ。ただ、信じるためには、 エネルギーを蓄える ことが必要だ』
では、何を、どうすればいいのだろう?
そして、タケシは?
思い悩んで過ごしている担任のもとへ、新聞委員会の生徒たちが学級新聞の下書き原稿をもってやってきました。
「校内合唱祭、みんなで楽しく、元気に歌えるといいね」というタイトルの下に、クラスの全員が大きな口を開けてにこやかに歌っているイラストが描いてあります。 「この絵、とてもすてきだね。誰が描いてくれたの?」
「タケシ君です!」新聞委員会の生徒たちの後ろに、照れ笑いを浮かべたタケシが立っています。昨日のぞいた合唱の練習では、タケシは絵に描いてあるような大きな口は開けてはいなかったのですが……。