福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -001/042page

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研究紹介

問題行動をもつ生徒への養護教諭としてのかかわり

〜頭痛を訴えて保健室登校するA男への指導援助〜

いわき市立平第一中学校養護教諭  山 崎 美佐子

1 はじめに

 本校でも、近年、集団に適応することが困難な生徒の増加傾向が見られ、そのような生徒に対し、養護教諭はどのようにかかわっていけばよいかを模索しているところである。
 教室への登校が困難で、保健室へ登校させてほしいという生徒への指導援助のあり方について、手探りの状態であるが、そのかかわりの一事例をここに述べたい。

2 対象

 中学校2年生 男子 A男

3 問題の概要

 A男は、中学1年の2学期から頭痛を理由に早退、遅刻するようになり、次第に欠席が多くなった。頭痛について医師の診断は「異常なし」であった。欠席が断続的に続いたため、3学期には心療内科を受信した。「社会性が未発達なため、現状で本人ができる範囲での社会生活を目標とするように」とのことであった。その後加療しながら保健室登校となった。(3学期の欠席は42日)2年に進級してからも、朝は、1時間ほど遅れて保健室へ登校し、午前中で早退する日が続いていた。

4 資料

1 本人に関する資料

 身体・生理面は、特に問題はない。
 性格や情緒面は、観察・面接からは几帳面、負けず嫌い、消極的、そして自己中心的な点もみられる。YG性格検査では、結果がE型で、神経症、内向の傾向が出ている。GAT(不安傾向診断検査)では、孤独、対人、過敏、身体的特徴の項目で不安傾向が強い。エゴグラムでは、やや高いAC(順応の自我状態)から従順である一方劣等感の強さが、低いNP(保護的自我状態)から寛容さの不足がうかがえる。

GAT(中2、9月)・エコグラム(中2、9月)


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