福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -032/042page

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研究紹介

小学生におけるディベート学習の可能性

教育センター学習指導部  吉 田 美智生

1 はじめに

単元名「世界の平和と日本の役割」(第6学年9時間扱い)

 「新しい学力観」に立った学習指導法の工夫として、体験的な学習や問題解決的な学習などがあげられる。特に、近年体験的な学習の一つとしてディベート学習が注目されている。ディベートを学習に組み込んだ場合、子どもたちは、自分の思考力や判断力、表現力などを駆使して、新たな知識・理解、技能を自ら獲得することができる。

 本県において、中学校や高等学校のディベート学習の実践例は近年急速に増加しているが、小学校における実践事例は少ない(註1)。「ディベートの議論そのものや、勝敗をつけたり議論し合ったりすることが、小学校の発達段階に合わないのではないか。」、あるいは、「学習後、児童相互に感情的なしこりを残すのではないか。」といった懸念から敬遠されているものと推察する。

 本研究は、小学生によるディベート学習への可能性を、1995念2月、滝根町立菅谷小学校で河野教諭とともに行った授業実践と事後の児童アンケート、本センターにおける基本研修でディベートを体験した本件小学校教員の意識調査などから追究しようとしたものである。

2 研究の実際

情報収集活動

1 授業の実践

 (1)単元の構成
 ディベートを学習に取り入れる場合、単元の中への位置づけについて、教科の特質やねらいによって様々な工夫ができる。本研究では、小学6年社会科の実践として次のような流れを考え、単元全体に位置づけるようにした。

 (2)課題追究の実際
 児童が、主体的に知識・理解を獲得していくためには、課題追究の段階を充実させることが大切である。本研究では、第二次(4時間)の前半部を情報収集活動として2単位時間あて、次のような計画を立てた。


 (註1)赤塚公生・阿部正春「ディベート学習の現状と課題」1994.3 福島県教育センター「紀要」


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