福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.119(H08/1996.11) -034/042page
役立っているとはいえません。
賛成派:国連には国際司法裁判所があり、国と国との間に問題が起こった場合、ここで裁判をするので大丈夫だと思います。反対派:世界各地で紛争が起きています。例えば、イラン・イラク戦争、ベトナム戦争などです。これに対して、国連は役に立っていないと思います。
賛成派:問題があった場合、安全保障理事会で話し合いが行われるので大丈夫だと思います。
反対派:その安全保障理事会があっても、戦争が起こっているのだから役にたっていないと思います。
賛成派:戦争がまだとくさん起きていても、なるべく戦争が起きないように国連は努力しています。それでも反対派の人たちは、戦争が起きていると言いますが国連は国連なりに話し合いで解決しようと努力しているので、国連は国連なりに世界平和に役立っています。
小学6年生でも、十分な下調べやチーム内でのディスカッションの時間をとれば、テーマが多少難しくても自分たちの問題としてとらえ、意見として表現できることが分かる。
2 考 察
(1) ディベート学習の取り上げ方
本センターでの基本研修社会講座で、ディベート学習を体験した小学校教師に、「ディベート学習で身に付くと思われる力」にちいて質問したところ次のような結果が出た。(複数回答)
@ 表現力 90% A 思考力 73% B 聞く力 56% C 資料活用能力 40%
この結果を見ると、ほとんどの教師がディゲート学習について、ディベート・マッチによる表現力育成の効果を認めている。しかし、社会科でディベート学習を取り上げる場合、ディベート・マッチに至る過程にも、より豊かな学習体験の場があることに注目したい。なぜなら、その過程で
・ テーマに対する様々な思考活動
・ それぞれの立場での資料収集活動
・ 資料分析と理論構築
など、社会科でねらう諸能力を育成するための活動がなされるからである。さらに、それぞれのチームの中で、仕事の分担と協力がなされ、言葉による表現の苦手な児童でも活動の場が与えられる。その活動の中で、教師は、一人一人の児童への支援を行っていくことができる。(2) ディベート・マッチ運営上の留意点
ディベート・マッチを運営する場合、児童によく理解させておかなければならないことは、あくまで「ゲーム」として正々堂々と議論することの大切さである。児童にめあてを持たせ、課題追求の意欲を維持させたり、自分たちの議論の整理をさせたりする上では、勝敗をつけることが効果的であるが、児童の実態によっては、必要意上にこだわらないようにしたい。