福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.120(H09/1997.2) -015/042page
例えば、教師が二人の会話にさりげなく次のように加わってはどうだろうか、playsを少し強めに発音しながら。
Teacher: Sorry? Kazuo,who pIays tennis?
Jiro p1ays tennis?
Kazuo: No, Ichiro play,...p1ays tennis.また、例えば、英文の添削などの場合、綴りに間違いがあれば、そこにspe1lingの記号としてSとだけ記しておく方法もある。生徒はその記号を手がかりに自分で訂正することになる。
3 openquestion
生徒の発想、思考、推理、体験、創造力等種々の力を引き出し、生徒が自分のこととして考えて答えられるような質問(Openquestion)を取り入れることや様々な答えを受容する工夫がcommunication能力を育てる視点の一つである。 次のex.1,ex.2にどのような答えが予想されるだろうか。受容できる答えは数多くある。ex1. Question: what do you think this is?
Answer: It's a circ1e/a hole/the sun/the moon/a coin/an eye ba11/...
ex2, Question: Do you have a knife?
Answer: What? /What do you useis for?/Yes, I do./No, I don't./Here you are./Do you needit now?/Use this, Please./...4 発信と受信をつなぐ+α
コミュニケーション能力の育成には受信あるいは発信に片寄ることなく、相互に行き来することが大切である。
Q&Aが単なるドリルとしての質問と答えにとどまるのではなく、相互理解を深め合うcommunicationとしての発信と受信にまで高めるには発信にα+Question、あるいはAnswer+αというような+αが必要である。受信の際にも同じである。
+αはletmesee...などのつなぎ言葉であったり、相づちやまた情報を更につけ加えたりすること等、communicationを推進するポイントであると言える。
(+α無し) A: Do you like sushi?
B: Yes, I do.
(+α有り) A: I don't 1ike sushi. Do you 1ike sushi?
B: Yes, I do. It's my favorite food.おわりに
ある大学の教授が、英語が非常に堪能で発音もネイティブなみの新入牛に驚き、どこの国に留学したのか聞いたところ、その学生は不機嫌な顔で留学経験はな無いと答えたという。小学生のとき鍵っ子でアメリカの幼児向けテレビ番組を何度も見て過ごしているうちに覚えたのだという。
また、英語が抜群な学生Aと外国からの留学生がゼミで非常に熱心に話していた。やがて留学生はAから離れ、とつとつとした英語で話す学生Bに熱心に耳を傾けるようになった。Bには自分の考えがあるのだという。今日的課題である小学校段階からの言語教育やコミュニケーション能力の育成を考えるときに思い出させられる話である。
言語はコミュニケーションの際のツールにすぎない。伝える内容が大切である。しかし、ツール無くしてメッセージを伝えることはできない。言語は人切なツールである。生徒の主体性を生かし、言語と内容の双方に目配りしながら、コミュニケーション能力の育成を図りたいものである。