福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.120(H09/1997.2) -024/042page

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研究紹介

  理科に興味・関心を持たせる授業の工夫

ー生徒自身によるSTS教材の制作と生徒自身による模擬授業を通してー

            福島県立福島商業高等学校教諭 末永 仁

1 はじめに

 本校は商業高校であり、卒業後就職する生徒が多く、進学する場合も、受験科目として理科を必要とする生徒は皆無である。多くの生徒達にとって、理科を学習する機会は、高校時代が最後となる。しかしながら生徒たちは、商業関係の科目や各種検定には積極的な面が見られるが、理科に対する興味・関心は薄い。そこで、全校生に対し、理科に関する調査を行ったところ、結果は次にようになった。

(表1)理科に対する好き嫌いの変化
  最も好
き(%)
好 き
(%)
中 間
(%)
嫌 い
(%)
最も嫌
い(%)
小学校 18 37 28 10 7
中学校 11 25 31 24 9
高 校 8 24 51 12 5


(表2)理科に関するもので現在興味を持っている事項
 事 項   環境問題 18(%) 宇 宙 12(%) 
 情報科学 10   地 震  7  
 動   物  7    医 学  4  
 気   象  3   その他  7  
 特になし  32    

 表1より、本校の生徒の場合、小学校、中学校、高校と進むにつれ、「中問」と答える生徒の割合が増加していることがわかる。さらに、表2より、現在、理科に関するもので、興味・関心を持っているものがないとする生徒の割合が高い。このことは、生徒達の理科に対する興味・関心が薄れていることを示している。その要因としては、よく指摘されるように、高校理科の学習内容が日常生活から遊離したものになっていること、学習内容が難しいうえに指導方法にも問題があることなどが考えられる。

 今、STSという言葉が世界中に広がってきている。STSとは、Science,Techno1ogyandSocietyの略語で科学を技術と社会の中に位置づけようとする研究活動や教育活動である。

 現代社会には、STS問題といわれる、科学や技術が社会に影響を及ぼしている問題が数多く存在している。STS問題を通した理科の学習は、このような社会の中で我々がどう生きるのかを問いかけるものになる。さらに、この学習は、STS問題を弓1き起こす科学や技術が、学校で学習する理科を基礎として成り立っていることを再認識させ、、学習内容と生徒達の日常生活を結びつけるものになると考えた。

 以上のことから、日常生活に関連あるSTS問題についての教材を生徒自身に制作させ、その教材を用いて生徒自身に模擬授業をさせることが、日常生活と理科を密着させ理科に対する興味・関心を高める方策の一つになると考え以下に示す研究仮説を設定した。

2 研究仮説

11)研究仮説


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