福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.120(H09/1997.2) -033/042page
(2) ネームプレートを用いた授業の実際
ここでは「クローズアップ南西部『シラス台地』」(5/14時間)を紹介する。
【ネームプレート(下欄、N)活用の指導過程】以下は、教師が生徒一人ひとりのよさを生かして意図的に発言させる場と機会を設けた場面の様子である。
1 机間指導をもとに発言させた場面
白地図作業を通してシラス台地の分布をとらえることは容易であるが、その分布を人前で発表することに不安を抱き、抵抗を感じる生徒がいる。そこで 教師は、教室の隅々まで目を配り生徒の作業の進度を確認して励ましたり、作業を手伝って細かい助言を与えたりしながら生徒一人ひとりに対して発表することへの「大丈夫感」を与えていた。 そのうえで、日ごろ人前で話すことを苦手とする生徒を数名、意図的に指名して発表させた。 教師は生徒のボソボソとした発言を丹念に追い、「そう、なるほどなあ」など自信を持たせるような温かい言葉かけをしてネームプレートを黒板に貼った。
2 班の話し合いをもとに発言させた場面
雨で崩れやすい火山灰から成るシラスと同様の性質を持っ「落雁」入りのお碗に水を注ぎ落雁の変化を調べる実験は、4〜5人の班ごとに行った。落雁に興味を持ち、たたいたりかじったりする生徒もいたが、彼らを 教師は温かく見守っていた。 固い落雁が水を含むと急に崩れる様子は、どの生徒にも大きな驚きを与え、教室の方々から歓声があがった。その都度教師は、各班に足を運び実験の様子や崩れた落雁から想像できるシラスの性質を尋ねながら、班内でシラス台地の特色をまとめる話し合いを促した。話し合いは、日ごろ目立たない生徒が自分なりの言葉で落雁の変化の様子を説明したり、活発な生徒が話の内容をふくらませたりしながら建設的に進んだ。そこで白信をつけ、全体の話し合いは多くの生徒から自発的な発表が相次いだ。 教師は要領を得ない発表の内容の焦点化を図ったり、的外れの発表も大切に取り上げたりしながら一つひとつの発言を十分に認め、子どもが「発表してよかった」と感じることができるよ