福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -020/042page
研究紹介
四角形の学習において、児童自らが発見する喜びを感じる学習指導の工夫
〜「四角形探検カード」等の活用を通して〜
二本松市立杉田小学校教諭 鈴木真澄
1 主題設定の理由
算数の学習における本学級(4年生32名)の児童の意欲や興味・関心は、観察によると、計算と図形に高い傾向が見られる。特に、定規やコンパスを使って作図する学習では、集中して取り組む様子が見られる。一方、じっくり考える文章題を嫌う傾向が強く、立式の理由や考え方の説明となるとほとんど手が挙がらない。
また、学力診断テストの結果を見ると、図形領域が他の領域に比べて低くなっていることがわかった。児童が一番興味関心を持って学習したにもかかわらず、知識が十分に定着していないという問題点が明らかになった。
図形の意味や性質の理解は、具体的な操作活動と結びついて理解していなかったと思われる。課題に児童自らが主体的に関わり、発見した喜びを伴わない知識だったために定着しなかったとも考えられる。
このような実態を改善していくためには、次のことが必要であろう。 ・ 既習事項の生かし方を知り、自らが新しい知識を発見した喜びを味わうことにより確かなものにすること。 ・ 調べることを通して得た自分なりの考えを友だちに説明できる力を付けること。
そこで既習事項をもとに、調べる活動を中心に展開し、新しい図形の性質を児童自身が発見していけば得た知識は確かなものになると思われる。その際、調べる観点を明確にすることで、苦手に感じている自分の考えにっいての説明も抵抗が少なくなるものと考え本主題を設定した。
2 研究仮説
1 仮説
四角形の学習において、「四角形探検カード」及び「脱出カード」の活用により、既習の図形との相違に着目して調べる活動を展開すれば、児童自らが発見する喜びを感じ、自分なりの考えに自信を持って調べたことを説明することができるようになるであろう。
2 仮説について
(1) 「四角形探検カード」とは
児童が探検隊として発見したことを記録していくカードである。調べる観点を明確にするための探検方法の欄や調べて気づいたことを書く欄、また、定義や性質をまとめる欄を設けた。子どもの情意面を把握するために、学習の感想を表す探検日記と、仮説に関わる簡単な観点を記号によって自己評価できる欄を設けた。
このカードは、本時の学習を記録し、反省するとともに、学び方を手助けするものであり、