福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -019/042page

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 まなみちゃん自身も元気が出てきたようです。「朝、めそめそしなくなりました」という話を母親がしてくれました。父親の誘いに、一緒に散歩に出るようにもなってきたそうです。

まなみ : 子馬のびょうき、もうすぐ、なおるかもしれない。少しだけ、かけっこのれんしゅうもはじめたんだよ。

 いきいきと話すまなみちゃんの横顔を見ながら、さと子先生は、 自分の思いをあまり押しつけず、自由に表現させる ことで、まなみちゃんの 気持ちをもっと知りたい と思いました。

 まなみちゃんが学校を休み始めて2週問が過ぎました。

イラスト まなみ : ……先生、子馬のびょうき、もうすぐなおるよ。そしたら………
担 任 : そしたら……?
まなみ : ……まなみも学校に行けるかな。
担 任 : そうね……まなみちゃん……、学校に行きづらい理由、ある?
まなみ : ううん。まなみも、子馬と同じ。 もう、むなしくないよ。

 まなみちゃんは「もう少し、この子のこと元気にしてあげなくちゃ」と言って、色鉛筆をまぶしい笑顔で走らせています。

まなみ : あのね、学校に行けたらね………?
担 任 : 行けたら………?
まなみ :  がんばらなくてもいいよね。

 まなみちゃんもお祈りをしていたんだ。がんばる、よい子のまなみちゃんも、病気の子馬だったんだ。 そのむなしい気持ちをまなみちゃんは知ってほしかったんだ。

 さと子先生は、黙ってうなずきました。


           相談面接を通して、児童生徒の心を理解するために

○ 児童生徒の心を理解することは その子供と同じ舞台に立っということ です。子供たちは、自分たちと同じ目の高さで感じ、考えてくれる人が好きです。そんな人に心を開きます。わたしたちは、その子と 飾らず、素直に自分を語り合える関係 にありたいと思います。

○ 児童生徒の心を理解することは時間がかかることです。不安の中にいる子供たちの多くは、自分自身の心がわからないのです。ゆっくりと自分の心を見つめる時間を必要としているのです。わたしたちは、その子が 必要としている時間を待って あげたいと思います。

○ 児童生徒の心を理解することは その子供を信じるということ です。子供たちは皆秘めた力と可能性をもっています。それは、一時的にエネルギーが低くなっている子供たちも同じです。わたしたちは、どんなときもその子の 力と可能性を信じて 見守ってあげたいと思います。


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