福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -032/042page

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研究紹介

プログラミング学習における情意面の活性化を図る工夫

ー段階的な思考活動を通してー

                  教育センター科学技術教育部 猪股利一

1 はじめに

 中学校技術・家庭「情報基礎」の学習内容の一つに「簡単なプログラムの作成」があるが、プログラミングの性格上、教師主導の授業になりがちで、生徒の学習に対する関心、意欲を持続させるのは難しい。

 そこで、関心、意欲という情意面を活性化する方策を講じ、思考を活発にするために、学習を段階的に行うようにすれば、プログラミング学習に対する関心、意欲を高め、知識・理解、技能の獲得に結びつくと考え、本実践を行った。

2 実践内容

1 プログラミング学習での思考のとらえ方

 「簡単なプログラムの作成」の目標はプログラムの機能を知り(知識・理解)、簡単なプログラムの作成ができる(技能)ことである。これらの目標を達成するには、思考活動を授業に位置付けることが必要であると考える。本実践では、この思考が働く場面を次の3段階に分けてとらえた。

(1) 第1段階(事実をとらえるときに働く思考)

 図形をえがくことができる基本命令語を一つ一つ確実に理解し、コンピュータで使える。

(2) 第2段階(相互関係をとらえるときに働く思考)

 基本命令語を組み合わせて、意味のある簡単な図形の基本プログラムを作成できる。

(3) 第3段階(総合的にとらえるときに働く思考)

 蓄積した基本プログラムを組み合わせて、複雑な図形をえがく応用プログラムを作成できる。

2 授業実践

○対象 3年2組男子20名女子20名
 ○ 単元 「簡単なプログラムの作成」
 ○ 期間 平成8年11月〜12月

3 情意面を活性化する具体的方策

(1) 関心を持続させるための題材の選定

 プログラミングの題材は、日常生活とかかわりの深い、信号機を点滅させるプログラムを選んだ。プログラムは、初めに、画面に表示された信号機を点滅させ、次に、画面と同時に信号機の模型を点滅させる内容で作成させた。

(2) 生徒の学習状況を知るための三角パネルの活用

 「先生、順調だよ」「先生、少し困った」「先生、助けて!」 の3段階に分けて表示できる三角パネルを作り、それを使うことによって生徒が気軽に質問できるようにした。教師がそれをすばやく把握し、学習につまずいている生徒に対しすぐに支援できるようにした。

先生、助けて!


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