福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.121(H09/1997.7) -031/042page
下のグラフは、教師に対して「児童にとって理解しにくいと感じている単元は何ですか。」という調査結果(3〜6年の単元の中で、30%以上の選択があったものを川員に並べた。)である。
教師と児童の調査結果とを比較すると、が難しい単元として、次のような共通点と相違点が明らかになった。
ア 教師と児童の結果が特に一致した単元
・ □を使った式(60.2%)3年 ・ がい数(40.8%)4年 ・ 単位量当たりの大きさ(53.1%)5年
上記の3単元は、教師と児童の結果が特に一致した単元であり、他の単元との差も人きい。「□を使った式」については、式が数量関係を的確に、簡潔、かっ一般的に表すことができる表現方法であるが、これを単に計算の仕方を示したものや約束事として児童が理解している場合がある。式は「数学の文章」であることを具体的な場面に対応させて事柄や関係をはっきりさせることが重要である。
イ 教師と児童の結果に特に差がある単元
○ 教師の割合は高いが、児童の割合は低い単元
単元 単元名(学年) 児童 教師 分数(3年) 9.7% 31.6% 少数(3年) 12.0% 23.5% 「分数」と「小数」は、今までの整数の数の範囲を拡張して、3年生ではじめて学習する単元である。分数・小数の意味を理解させることと加法・減法ができることを知らせることが主な内容である。教師には児童が理解困難と考えている単元が、児童にとって以外に難しいと感じていないことが分かった。この違いの理由は、今後明らかにしたい課題である。
○ 児童の割合は高いが、教師の割合が低い単元
単元 単元名(学年) 児童 教師 三角形(3年) 28.1% 9.2% 円と球(3年) 27.8% 14.3% 角 (4年) 37.3% 22.4% これらの単元に共通していることは、前学年までの概念の素地を培う学習から、その学年で定義や性質を学習するようになることである。図形領域においては、性質を理解させるために図形を構成したり分解したりするなどの具体的な活動を適切に取り入れることが必要である。
4 今後の計画
教師のアンケート調査により、今までの児童に対する調査研究との関連を探ろうとしてきた。今後は、今回の調査研究を踏まえて、実践的な研究をしていきだいと考える。