福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -015/042page
さしい子なのだ、という印象を強くもちました。また、定時制高校では、専門教科の実習を通して多くの経験を積むことによって成長する姿を見てきました。このようなことからも、様々な経験をすることが今の子どもたちには必要だと痛感しています。我が校では、授業時数の確保から、ここ数年とりやめていた遠足を今年、復活させました。これを機に、遠足のあり方を検討しようと、プロジェクトチームを組んで考えました。2年生は遠足の中で野外炊飯をさせることにしたわけです。計画・立案のすべてを生徒に任せ、教師は極力口出しせず、生徒を見守る立場で接しました。中にはかまどが分からない子どももいます。そういったことにより、班編成や実際の炊飯作業の過程における人間関係を含めた体験を通して、問題解決能力を図ろうとしました。
もう一つ感じていることは、読書量の少なさです。これでは豊かな感性は育たないのではないかと思うのですが、端的に言って、心を育てる特効薬はないということも言えるのではないでしょうか。人生観を養うにも、様々な分野の本を読むことは大切だと思います。酒井 子どもたち、特に中学生に時間的ゆとりを持たせたいと思っています。部活動の時間の調整もその一つだと思います。指導を受けるだけでなく、自分で考え、自分で判断して動くことが必要と思います。小学校の保護者懇談会では家庭での様子をお互いに話す機会がありますが、中学校ではそのような機会が少ない。他の家庭の様子など分かれば、親の対応のしかたも変わってくるのではないかと思うことがあります。
家庭での過保護な状況により、年令相応の対処能力を身につけていない、未熟な子が増えていると思います。トラブルのない世界はないわけですから、どう対応すべきか、また、自分で対応できない時どうしたら良いのか、そういう力を身につけさせたいと思います。藤田 様々な角度から「心が育つ場としての学校」のあるべき姿を話していただきました。集約することは難しいと思いますが、星先生、いかがでしょうか。
星 福島市内のいくつかの学校で、掃除の時間を週に何回かカットしたところがあります。その分、遊びの時間を1日に1時間半にしたのですが、そのようにセッティングしないと遊ばなくなってきているというわけです。県では、ハートウォーム・プランを実施して、学校と地域とが地域の子どもたちの健全育成について一緒に考えようとしています。学校の存在について言えば、私は小さい頃貧乏で、学校にはウキウキしながら行ったものでした。本が多いし映写機もある。しかし今は、家の方が者が揃っている。そんな中で学校に魅力を取りもどすには、子どもの立場に立ったゆとりのある時間、子どもの目の高さに立って子どもと一緒に遊ぶ時間、そういった時間が欲しい。スキップを踏んで来られるような学校にしたいものです。