福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -018/042page
藤田 酒井先生は、スクールカウンセラーとして様々なケースを見てきたわけですが、何か積極的な方策はありませんか。
酒井 クラス内の対人関係のトラブルは担任を親との面識もあり、相談しやすいのですが、部活の場合、どんな先生が指導しているのかを親が分からないため、何かあると担任を通して言ってくるようになるわけです。顧問と親との関係は希薄な場合が多いのですが、部活内でのトラブルも多発している現在、親どうしが知り合うためにも、クラス懇談会のように部活の懇談会も必要ではないかと思います。一部、やっている学校もあるらしいのですが。
中学生活では部活は、大きなウエィトを占めているので、部活でのトラブルから中学生活全体へ影響を及ぼしてしまった事例も多いわけです。学校だけで見れるものでもないので、家庭どうしの距離を縮めることで自分の子どもの実態も掴みやすいし、お互いに協力し合うことができるように思います。藤田 では最後に、これまでの意見交換をふまえながら、星先生にお話しいただきます。
星 「連携」という話しが出てきましたが、相手が機能していないのに「連携」という言葉を使っているのはどうか。学校の大きな流れとして「連携」はもちろん大事なことです。しかし、「連携」するには互いに機能していることが必要です。連携して手を携えながら一緒に進める部分を見極めながら進めることが肝要です。
真壁先生もおっしゃいましたが、効率が悪くても素材がよいものを使っての授業もしたい。もっとゆったりと、人も文化も、学校でやらなければならないことをゆっくり教えたい。知性と感性と社会性のバランスが大切だと思います。子どもに教えるにはタイミングがあって、例えば逆立ちなら逆立ちをしなければならない時機があるわけで、子どもにまかせる時はまかせる、そんな学校にしたいと考えます。
数学的思考というものがありますが、思考というものは教えられません。同じように、心も「教える」ものではないと思います。遠藤先生が言われたように、地道に、迎先生が言われたように、当たり前のことを当たり前のようにやることだと思います。「しつけ」は、「お しつけ 」ではなく「 しつ づ け る」の「しつけ」でありたい。地道にくり返しやっていくことだと思います
次に、迎先生始め、皆さんが言われたように、学校が変わるということは授業が変わるということだと思います。学校の授業の質を高めることから心を育てていきたい。学校があって子どもがいるのでなく、子どもがいて「子どもの心が育つ」学校があるということを認識していきたいと考えます。
わくわくしながら先生方の話を聞かせていただきました。藤田 これまでの話し合いの中で“子どもたちの心が育つ”学校の在り方が見えてきたように思います。“心が育つ教育”を推進する上で、学校種を越えて共通する問題点や、小・中・高それぞれが担うべきことも紹介されました。より具体的に理解し合い、実践化するためには、まだまだ話し合いを続ける必要があるかと思いますが、時間も来ておりますので、今回の座談会ではこの辺で閉めさせていただきます。
長時間、ありがとうございました。(平成10年6月19日実施)