福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -020/042page

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4 授業改善に向けて

 英語科の指導に当たっては、実践的なコミュニケーション能力を身に付けることに指導の重点を置き、「どのような場面で、どのような内容を、どのような表現を使って表すのか」を関連させて理解できるようにしたい。その際、「英語学習の基礎・基本である」という視点に立ち、コミュニケーション活動を通して基礎・基本の習熟を図るとともに、発展的なコミュニケーション活動の中で、学んだことを核として自分の考えや表現の仕方を広げていくことができるような指導の在り方を工夫したい。
 前述の調査の結果から、大領域では、「話すこと」の力の育成が必要であることが明らかになった。ここでは紙面の都合上、調査の中から「話すこと」に焦点を絞り、その指導の要点について、いくつかの例をあげて述べてみたい。

(1) 生徒が表現内容を意識して練習する方法を工夫する。

 コミュニケーション能力の育成を図るためには、自分が何を言おうとしているのかという表現内容を意識させた練習が必要になる。その際、視聴覚機器の活用や、ペア学習の工夫などが大切であり、次のような例が考えられる。

・ VTRで2人の対話の映像を流し、それに合わせて英語で話せるようにペアで練習させ、最後に、音声なしで映像に合わせて発表させる。内容を意識して練習させることによって、場面と内容と表現が結びつき、話す力の育成につながる。

(2) インタラクティブな活動を工夫する。

 クラスルームイングリッシュを活用したりスモールトークを行う際、間違いを気にせず、「通じること」を前提に活動させるとともに、相手の言っていることを理解し、それに対し自分の言いたいことを言ったりするなど、活動をインタラクティブなものにさせることに重点を置きたい。その中で、答え方や「発音、語のアクセント、文の音調、文の区切り、文の強勢」などを意識させる場面を織り交ぜ、それらの正確な理解を目指していきたい。その際には、指導すべき項目を精選し、計画的な指導を図ることが大切である。
 また、【例1】のように、質問されたことに答えた後、一言付け加える練習は、表現力の育成につながるとともに、「話すこと」への積極的な態度も育成できる。

【例1】T:Do you practice tennis?
S:Yes,I do. I practice after school.

さらに、【例2】のように、because, and, butなどを使って, 補足したり, 話題を広げたり, 転換したりすれば, コミュニケーションを続ける能力の育成にもつながる。その際, well, let me seeなどの間合いを取る表現を教えておくとよい。

【例2】T:How many CDs do you have?
S:Well,I have about fifty.
And my brother has about seyenty.

おわりに

 コミュニケーション能力の育成を目指す授業は、決して基礎・基本を軽視した授業ではない。大切なのは、生徒が英語を「学びながら使い、使いながら覚えられる」ように、コミュニケーション活動の在り方を工夫していくことではないだろうか。今後とも、調査結果を生かし、望ましい指導の在り方について実践的に探っていきたい。
 なお、詳細は「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」(福島県教育センター平成10年3月)をご覧ください。


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