福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -025/042page

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研究紹介

社会認識を深め、自ら考え、判断するカを身につけさせる指導

−歴史新聞や読後討論会をとりいれた指導家庭の工夫によって−

塩川町立塩川中学校教諭  澤 崎 俊 哉 

I 主題設定の理由

 急激な変化を続ける現代社会において「自己表現」を図っていくためには、生徒一人一人に社会的事象を正しく認知し、判断し、行動できる力を育成することが必要とされる。
 こうしたカの育成が授業の中で十分なされているかどうかを把握するために生徒に対して「事前アンケート」を実施したところ次のような実態があきらかになった。
○社会科が嫌いとこたえた生徒の主な理由が「覚えることが多い」や「考えをまとめることが苦手」であること。
○社会科を暗記中心の科目と感じている生徒が予想以上に多いこと。(約40%)○考えをまとめたり表現したりすることに抵抗を感じる生徒(約50%)の主な理由が「めんどうくさい」や「やり方に不安がある」であること。
○歴史学習の中で自分なりの見方や考え方をもてているとこたえた生徒が約50%にとどまているということ。
 こうした実態は授業の中で、
○生徒の興味・関心を喚起する学習活動が十分に展開されていないこと。○学習が事実認識の獲得にとどまり、思考力・判断力の育成に至っていないこと。○表現のしかたについての学習活動が不足していること。
などに起因しており、このような状況を改善するためには、単元を通した学習の中で生徒が興昧を持って追求できる学習課題を設け、生徒が課題を追求する中で事実認識を確かにし、それに基づいて自分の選んだ視点から判断をくだし、それぞれの表現方法で考えを示し合い、更に検討を加えて思考を深めるような学習活動を展開する必要があると考えた。そこで本研究では身近な素材を教材化し、生徒の興味・関心を喚起するとともに、指導過程の中で「歴史新聞」を作成する作業的学習を意識的た取り入れ、その作成過程を通して事実をつかみとったり、考えたり、判断する場面を設け、更に「読後討論会」を開き、考えを練り上げる学習をさせることによって、社会認識を徐々に深め、自ら考え、判断する力を身につけさせたいと考え、研究主題を設定した。

II 研究仮説

1 仮説

 歴史学習において、新聞作成という作業的学習を取り入れ、「取材活動」により事実関係を把握させ、 「紙面作り活動」で歴史的事象に対して自分の立場で判断を加えさせ、更に「投書」や「読後討論会」の場で 互いに新聞に基づき意見交換をさせれぱ社会認識が深まり自ら考え、判断する力を育成できるだろう。

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