福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -026/042page

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2 研究仮説のとらえ方

 (1) 社会認識が深まり、自ら考え、判断する力が育成されるとは…
 社会認識の深まりは概ね次のような手順によって獲得できると考える。
 1(丸囲み) 事実認識の獲得 2(丸囲み) 関係認識の形成 3(丸囲み) 主体認識の醸成
 更にこうした手順が繰り返されることによって生徒は自ら考え、判断する経験を積み社会認識を深めていくことができるだろう。

 (2) 「取材活動」で事実関係を把握させ、「紙面作り活動」で自分の立場で判断を加えさせ、「投書」や「読後討論会」の場で意見交換をさせれぱとは…
 「歴史新聞」の作成と「読後討論会」をとおしてこのような社会認識の深まりを形成しようとするならぱ、主に次のような学習過程において各認載が形成されると考える。
1(丸囲み) 事実認識の獲得…取材メモ作成
2(丸囲み) 関係認識の形成…機関紙的紙面作り(選択した立場からの意見表明)、投書(他新聞への意見伝達)、読後討論会(討論による意見交換)
3(丸囲み) 主体認識の醸成…紙面作り、投書、読後討論会、社説(立場を離れた本当の自分の意見)
 また各段階には到達基準を設定し、指導・援助を行うこととする。


III 研究の実際と考察

1 検証授業の単元

 (1) 明治政府の成立と諸改革の展開
 (2) 憲法の制定と議会政治の始まり
 近くに福島事件の舞台となった「弾正が原」をひかえ、生徒の興味・関心が高い。明治政府の政策が討論の論題として成立する。

2 第1回検証授業(投書)

 (1) 単元指導計画

単元指導計画表

 (2) 検証の観点
  1(丸囲み) 自分の立場から他の考えに対して、明確な意思表示ができているか。(改革を見つめる視点がはっきりしており、取材メモが有効に働いていれば、主張のはっきりした歴史新聞ができているはずで、そうであれぱ自信をもって投書に考えを表現できるだろう。)

 (3) 検証授業の実際と考察
  1(丸囲み) それぞれ農民、町人、武士、新政府役人の立場から紙面を作成しているため相手の意見に明確に意思表示ができた。しかし感情的なものや根拠が明確にしないまま非難する者も少なくなかった。
  2(丸囲み) 新聞を前に討論らしきものが始まる場面もあった。また躊躇していた者もその輪に入り、意見を聞いたりする中で全員複数の新聞に


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