福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -028/042page

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では五ケ条の御誓文を例にとって実現を主張したり、討論の後の「社説」では、しっかり国民本位の政治の必要を主張している。更に次の単元では相手の主張の評価できる部分に注目し、あえて政府側の立場を選択している。最終的な「社説」には双方の意見を加味した多角的な見方で結論づけている。各段階の到達基準をクリアし学習が進むにつれてはっきりした主体認識の醸成がみられる。

生徒記録

 (3) 社会科学習に対する意識の変化はみられたか。
 アンケート結果にみられるよう社会科を暗記中心の教科であると考える生徒が大幅に減少した。また社会科学習で最も大切なことは事実を知り、いろいろな立場で考えてみることと回答する者が大多数であった。

【社会科を暗記中心の教科だと思いますか】
いつもそう思う そう思う時もある あまり思わない そうは思わない
事前 12 32 34 22
事後 6 12 30 52

IV 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ

 (1) 取材メモと歴史新聞による社会認識の深まりについて
 「自分自身が納得するまで調べられて良かった。内容についての意見がでてくるようになって楽しかった。」といった感想が多く、有効であった。また主張を明確にさせた紙面作りは、生徒の思考を活発化させ多様な意見を喚起できた。

 (2) 討論による社会認識の深まりについて
 「ゲームみたいで普段よりたくさん意見がいえた。他の立場でみるといろんな考えがあることに驚いた。す一っごく楽しかった。」といった事後感想が多く有効であったといえよう。また討論による学習を期待する感想が多く、今回の経験が生徒の学習意欲を喚起するものとなった。

2 今後の課題

 (1) 今回普段は社会科学習に積極的でない生徒の中にもこのような手順で学習をすすめれば確かな社会認識を育成できることがわかった。今後は教育課程編成において、こうした学習にあてる時問を生み出す工夫が必要である。
 (2) 表現力には人きな個人差があり、そのことで思考が妨げられることがわかった。今後は社会科に限らず教科間でも共通理解を図り、系統的な指導のあり方について工夫したい。


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