福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -031/042page
する)は、中学校一年の鑑賞共通教材に定められている。そのため、ここでは、既に学習していると思われる歴史的背景などには触れず、音楽構成の面からのアプローチを行った。
「越天楽」で用いられている打楽器(太鼓、鞨鼓、鉦鼓)は、一定のリズムパターンを繰り返し、その際、互いの音を聴き合いながら演奏することによる「拍節のずれ」により、独特の雰囲気を醸し出している。今回の学習ではそのことに気づかせるこどをねらいとした。具体的な学習活動の流れは、以下のとおりである。
1(丸囲み) 「越天楽」のメロディーを、アルトリコーダーで練習する。その際、リズムの感覚をつかむために、まず、〈譜例〉のプリントによる、口唱歌(くちしょうが)を練習する。
<譜例> 注2雅楽「越天楽」より
2(丸囲み) レーザーディスクによる「越天楽」の冒頭部分の演奏に合わせて、アルトリコーダーでメロディーを演奏する。
※ 1(丸囲み)および2(丸囲み)の活動は、この後、打楽器パートを聴きとって上の<譜例>のプリントに書き込む活動の準備段階として行う。なお、<譜例>の楽譜は、アルトリコーダーで演奏した際にレーザーディスクの音と合うように、あらかじめ移調してある。3(丸囲み) レーザーディスクを鑑賞しながら、打楽器パートの音型を<譜例>のプリントに記入する。その際、生徒同士で自由に相談し合いながら記入してよいものとする。あらかじめ、それぞれの打楽器の音と映像を確認し、視覚、聴覚の両方を用いて調べることができるようにする。
4(丸囲み) 調べた結果を発表し、互いに確認し合う。その後、レーザーディスク鑑賞により、打楽器パートの最終的な確認をする。
5(丸囲み) 打楽器パート(手拍子による)とメロディーパートに分かれ、レーザーディスクの演奏に合わせて「越天楽」の冒頭部分を合奏する。
6(丸囲み) 合奏して難しかった点について話し合う。その後、雅楽のリズムパターンの特徴や、アンサンブルの際の注意点について考える。
雅楽の合奏の際、生徒からは「テンポをとっているのに、なぜ合わないのか」、「雅楽は合わせるのが難しい」との感想があった。
なお、第4時の終了の際に、以下の点について今後考えてほしいと話し、オープンエンドで授業を終えた。
○ 「リズムパターンの反復」の規則による
注2 書き込みは生徒による。