福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.124(H10/1998.7) -033/042page
研究紹介 思考活動を活発にする支援に関する実践的研究
〜小学校理科における素朴概念にもとづいた話し合い活動と、かく活動をとおして〜
教育センター科学技術教育部 池 上 雅
I はじめに
本研究は、児童の思考活動を活発にするために素朴概念の把握にもとづいた話し合い活動と、かく活動を授業に盛り込み、自ら進んで考えたり、工夫したりして課題を解決していく過程をとおして、知識・理解を確かなものとすることをねらいとして小学校の理科で実践したものである。
II 実践の内容
1 対象・単元・期間
○対象 5年 男子17名 女子17名 計34名
○単元 「もののとけかた」
○期間 平成9年10月〜12月2 思考活動を活発にする具体的方策の実践
(1) 素朴概念の異なる児童同士のグループ編成による話し合い活動
児童が学習の前に自然事象(学習内容)についてどのような理解をしているかを素朴概念ととらえ、図1のような調査用紙を児童に配付し、自分の考えに近いものを選択させる方法で素朴概念を把握した。この結果をもとに、考えの異なる児童同士のグループを編成し、話し合い活動を行った。
図1 素朴概念を把握するための調査用紙の例 さとうを水の中に入れ、よくかきまぜてとかしました。さとう水のこさはどのようになっていると思いますか。
あなたの考えに近いものを次のア〜カから選びましょう。ア〜カの中にないときは、キにあなたの考えを書きましょう。
図では、こいところほどこくぬってあります。(2) かく(描く)活動(概念地図、イメージ)
思考活動についての事前調査から、「自分の考えをまとめたり、発表したりする」の自己評価の学級平均が低いことがわかった。そこで、児童が自分の考えをまとめることができるよに、かく(描く)活動を取り入れた。
1(丸囲み) 概念地図
科学的な思考ができるとは、事象の関係付けや意味付けができることでもある。そこで、それらができるように概念地図をかく活動を取り入れた。概念地図法は、単元の学習内容に関係