福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -005/042page

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るのである。中でも、家庭や地域における「さり気ない教育」こそが、子供の人間らしさ、豊かさを培うのである。
 「さり気ない教育」の中心は「愛」である。両親やその他の家族、地域の人々の愛が、人間らしさや、豊かな心を育む最も重要なものである。したがって、まず、豊かな社会を築くためには、両親・家族の慈愛が不可欠であり、地域の人々の温かな対応が必要なのである。
 そこでまず、家庭教育の建て直しが必要である。更に、地域の人々が、全ての子供たちを我が子同様に愛し、見守って行く体制づくりをすることから始める必要がある。「学校週完全五日制」も、その一環として期待されている。教科の枠を外した「総合的な学習の時間」を創設し、ボランティア活動の推進を図ったのも、このことがねらいである。各家庭や地域の人々の協カなしには、このことは実現しない。協力あってこそ、豊かな社会実現に、一歩も、二歩も近づくことになる。家庭や地域の人々の「さり気ない教育」への強い意志が豊かな社会を築くのである。

2.「ソウル・マネージメント」による学校経営・学級経営を推進しよう
 「豊かな社会」を築くには、学校が、「ソウル・マネージメント」による学校経営・学級経営を推進することが重要である。「ソウル・マネージメント」とは、子供たちが、「魂を震わせ、情熱を燃やすような学校生活・学級生活を実現する教育を行うこと」である。
 管理職は、教師たちの「魂を震わせ、情熱を燃やすような学校経営を行う」ことであり、学級担任教師は、子供たちの「魂を震わせ、情熱を燃やすような学級経営を行うこと」が「豊かな社会」を築くのである。つまり、管理職も教師も自らの魂を震わせ、情熱を燃やして教育に取り組めぱ、子供たちの「魂を震わせ、情熱を燃やす教育」を実現することができるのである。

3.「豊かな心」を育む実践的方法
 (1) よりよい資料や良書との出会い
 よりよい資料や良書と出会うことは、人間性を磨くよい機会であり、自己を振り返る好機である。登場人物の優れた人生観や言動は、感動と共感を与え、人間としてのよりよい在り方・生き方を自覚させる。
 (2) ボランティア活動の体験
 「為すことによって学ぷ」と言う言葉があるが、体験は何にも優る方法である。体の不自由な人や高齢者の介助・介護の経験は、「思いやり・配慮」の心を強め、心身障害者や高齢者の立場に立って考えようとする態度を育てる。幼稚園・保育園での体験は、温かな心を育てる。
 (3) 人とかかわることが、豊かな心を育む
 人と積極的にかかわることが大切である。かかわるためには、相手の人は、自分とは異なる立場にあり、考え方も願いも違うことを理解しなけれぱ、かかわることはできない。そして、常に、「愛を発電機とした感度のよい受 機と、愛を発電機とした性能のよい送 機」を胸に備えておくことが肝要である。

江 橋 照 雄先生のプロフィール
 昭和30年、東京学芸大学卒業。世田谷区立経堂小学校・八幡山小学校教諭、東京学芸大学附属世田谷 小学校文部教官敦諭、町田市・立川市教育委員会指導主事、東京都立教育研究所指導主事、東京都教育委員会主任指導主事、渋谷区立大向小学校長、 港区立青山小学校長を経て、現在玉川大学文学部講師。

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