福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -009/042page

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 (2) 子供の主体的な活動を大切にするとともに、時と場に応じた支援をしたい。
 子供たちに主体的な活動の場や機会を与えることの必要性や大切さはこれまでにも言われてきており、宿泊研修にフィールドワークを取り入れたり、修学旅行にオリエンテーリングを取り入れるといった取り組み、小学校の運動会や中学校・高等学校の球技大会などで実施する種目を子供たちに考えさせ、その運営にも子供たちを積極的にかかわらせるなどの試みも多くなってきています。しかし、主体性を大切にする余り必要な助言をためらい、結果としてねらいとする能力が育てられないということもあります。学校で行われる全ての活動は、子供一人一人のために計画され、その活動によって子供の何をどう育むかという目標があります。従って教師は子供一人一人の行動を温かく見守りながら、それぞれの心に寄り添い、気にかけ、目をかけ、手をさしのべて「心の育ち」を支援していくことが大事であると考えます。

 (3) 「わかる授業、楽しい授業」の実践に努めたい。
 学校における生活時間の多くは授業であり、私たちはその多くの授業という時間の中でも子供たちの心の育ちを支援していく必要があると考えます。学習速度が遅いことを責める雰囲気はないでしょうか。理解が早い子供を傲慢にしてしまっていることはないでしょうか。心は他との、特に人とのかかわりの中で育っていくものですので、互いのよさや可能性を認め合い、協力して問題の解決に取り組む学級の雰囲気は極めて大切です。
 また、学業成績のよい子が、あるいは教師にとって都合のよい子が、いわゆる「よい子」であるという価値観があって、学習がわからない、できない子供が自信や誇りを失いがちになるということもあります。子供たち自身の自尊感情が希薄では、子供たちの責任感や正義感、倫理観などを育むことは難しいと考えます。従って、言い古されている言葉ですが、「わかる授業、楽しい授業」の実践の継続が、心を育む学校の基盤になけれぱならないということになります。
 特に、小・中学校では、道徳教育の「要」である「道徳の授業」についての研修を深め、年間35時聞を「心を育む時間」として確実に実践していかなけれぱならないと思います。

授業写真

 (4) 勤労体験や感動体験を味わえる教育活動を展開したい。
 心の教育が求められる背景要因の1つに子供たちの体験が不足していることがあります。そこで、学校では働く体験や美しいものや善いものに感動する体験ができる教育活動を積極的に取り入れてきたのですが、それらが一人一人の子供にとってどんな価値があり、意味があるかを考えていかなけれぱならないと思います。行事や活動が、集団として成功したかに見えても、一人一人の子供に体験が刻まれ、一人一人の子供の心に感動が湧かなけれぱ、心を育む教育活動としては貧弱なものになってしまいます。こうした点に十分留意しながら、これからの教育活動を見直していきたいと考えます。


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