福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -012/042page
なり、心を閉ざしてしまったと思われます。
(2) 心に迫る教師のかかわり
担任はA子に対して、両親や祖母、教師が温かくかかわることが必要だと考えました。
担任は、放課後にA子と二人で絵を描きながら、受容的、支持的にA子の思いを聴くかかわりを始めました。周囲の大人たちが「ゆっくりでいいんだよ。まちがっても大丈夫だからね」と見守ってあげるようになった今、A子の抜毛や頭を叩くような行動は、ほとんど見られなくなりました。
*事例II 中学2年生のB男は、服装や頭髪違反で繰り返し指導を受けている生徒である。
ある日、1年生の担任から「1年生がB男から金銭強要をされている。暴カも受けているようだ」という相談があった。担任はB男に事情を聞いたが、B男はうつむいたまま何も話そうとしなかった。(1) 問題(背景)の理解
B男は父親と二人暮しです。父親はB男に不自由させたくないと、常にお金を持たせていました。担任は金銭強要・暴力問題の指導と並行して、B男の内面の問題ついてB男と一緒に考えていこうと思い、面接をしました。
(1) 心に迫る教師のかかわり
担任「今回のこと、どのように考えてる?」
B男「…………」
担任「だいぷ反省しているようだね……」
B男「……はい。でも、つまんなくて……」
担任「つまんない……、どういうこと?」
B男「……みんな、俺のことへんな目で……」
担任「……そんな時は相談してくれれぱ……」
B男「……先生だって、同じ……」
担任「(……洗生だって同じ?!……)」
面接の中で、担任は自分のB男へのかかわり方について反省しました。その後、B男と担任はそれぞれ心を開き合い、問題の改善に向けて一緒に考えることができるようになりました。
やがてB男は、少しずつ級友とこだわりなく会話ができるようになっていきました。
*事例III C子は優秀な成績で第一希望の進学校に合格できた。入学式の翌日にオリエンテーションがあり、全校一斉の応援練習が行われた。そのときに先輩の応援団員に大きな声で怒鳴られたのをきっかけに、「学校がこわい」と言って登校できなくなった。 (1) 問題(背景)の理解
母親はC子について「小さいときから勉強も手伝いも自分からやっていた。礼儀正しく先生や近所の人からもよく誉められた。優しい友達もいるようなのに……」と語りました。“いい子であらねぱならない”とがんばり続けてきたC子は、高校入学で環境が変わったのをきっかけに、自分自身を見失ってしまったようです。
(2) 心に迫る教師のかかわり
担任は「自分とは何か」について悩み、迷い苦しんでいるC子の心を支えることが必要だと考え、家庭訪問をしました。面接の中で、C子は「行けない理由はわからない。ただ、がんぱるのが疲れた」と心の奥を話してくれました。担任が定期的に家庭訪問をし、C子の思いを聴くかかわりを継続したことで、C子は少しずつ“いい子の自分”でなく“ありのままの自分”でいいことに気づいていきました。C子は夏休みの補習授業から学校に戻ることができるようになりました。