福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -013/042page

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4 カウンセリング・マインドを教育活動に
 「心を育てる」教師のかかわりの中で欠かせないものは、カウンセリング・マインドです。
 ここでは、教育相談の考え方、方法を基にしながら、カウンセリング・マインドについて、教師の姿勢、子供理解の視点、子供へのかかわり方に視点を当てて述べてみます。
 (1) 教師の姿勢
 ア 教師は経験豊かで話し上手です。また、子供への指導を熱意を持って積極的に行います。このために、どうしても指導が一方的になりがちです。子供の自己指導能力を育てるという点から、教師にはもっと聞き上手で、子供の考えや行動を待つ姿勢が望まれます。
 イ 日ごろの教育活動は、どちらかというと集団を対象として行われ、全体的規律を重視するという傾向にあります。一人一人の子供の個性を伸ばすという点から、教師には集団を扱いながらも、もっと個を大切にし、子供の個性に目を向ける姿勢が望まれます。
 ウ 教師は善意と情熱を教育活動の支えとしているものです。しかし、子供の主体的で健全な成長を促すという点から、教師には“こうあらねぱならない”という固定された考え方からもっと自由で、子供の成長に寄り添う姿勢が望まれます。
 (2) 子供理解の視点
 ア 教師のものの見方、考え方は合理的、論理的です。子供の気持ちを大事にするという点から、子供の論理的な思考・表現のみに目を向けるのではなく、非言語的な面にも目を向け、表面には表れにくい子供の感情を理解することが大切です。
 イ 教師は子供の言動に対して、論理的で明快であることを望む傾向にあります。一方、子供の内面は暖昧であったり、複雑であったりするものです。子供の内面を深く理解するという点から、教師は児童生徒の内面の暖昧さや感情の複雑さを受容・支持することが大切です。
 ウ 評価は主に学業の成績、生活態度について行われ、このことが子供たちの目常生活を大きく制限します。子供たちの主体的に生きる力を育てるという点から、教師は子供を見る目を広げ、もっと子供の自主性や積極性を尊重することが大切です。
 (3) 子供へのかかわり
 ア 教師は子供の行動にのみ目を向けた指導をしがちです。一つの行動は、複雑な原因・背景の現れと考えることができます。子供の適切な判断力や行動力を育てるという点から、行動の裏側に注意しながら、待つというかかわりが必要です。
 イ 日ごろの指導はどちらかといえぱ、父性原理が優位となって行われている傾向にあります。このことから、どうしても一方的に子供に教える、伝えるという指導になりがちです。子供との好ましい人間関係をつくるという点から、子供へのかかわりには父性と母性を融合した両性原理が必要です。
 ウ 子供への指導は、その家庭をも視野に入れながら進めることが必要です。しかし、熱心さのあまり、教師が家庭の役割まで背負い込んでしまうこともあります。家庭の教育力を育てるという点から、教師は家庭に対して、その機能を回復させるという方向性を持ってかかわることが必要です。
 カウンセリング・マインドについて述べましたが、教育活動の中で教師が日ごろからこのような「心」で子供たちにかかわるとき、「心の教育」は推進されると考えます。


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