福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -019/042page

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〈振り返り〉
K先生; S男君、やってみてどうだったかな?
S 男; 立ち上がりながら言ったときは、本当にやめてほしいっていう気持ち、強く出せたと思います。
R 子; ほんと、立ち上がりながら言うと嫌がってるのがわかりました。
F 男; だけどさ、観察していて、表情がないと本当にいやがっているのか、ふざけて言っているのか、わからないっていう感じがした。
K先生; そうだね。自分の気持ちを相手に伝えようとするとき、動作とともに表情や声の大きさも大事だよね。

生徒  以上のようなアサーション・トレーニングを何度か実施することによって、K先生の学級では、以前より自分の考えや気持ちを素直に伝え合い、受け止め合うようなコミュニケーションが見られるようになりました。

 何日か経ったある日のことです。K先生は校庭に、S男の姿を見つけました。

S 男; (迷いながら)ぼくもまぜてよ。
F 男; みんな、どうする?
みんな; いいよ。
S 男; (顔がぱっと明るくなる)

豊かな人間関係づくりとアサーション・トレーニング
 「アサーション」 は単なる自已表現の技術ではなく、基本的人権やものの見方、考え方を含む広い意味での〈自己表現〉を意味します。その意味で、 自分を認め、相手も認めるという姿勢 が、とても大切です。
 「アサーション」 とは「自分も相手も大切にしながら、自分の欲求、考え、気持ちを率直に素直に相手に伝える自己表現」です。自分の権利や個性を主張し、相手の権利も侵さないという相互尊重のコミュニケーションのことですから、当然、葛藤や軋轢(あつれき)は起こってきます。その場合、 お互いを大切にして歩み寄る姿勢をとり、話し合いによって解決の方法を探ろうとすること が重要です。
 「アサーションを実施する際に注意すること」 は、学級の子供たちの実態に即し、 計画的・継続的に行うことです。 その際、一方的な押しつけではなく子供たちの 自発性を尊重すること 、また、必ず 全員で振り返り を行い、十分にフィードバックすることが大切です。さらに、全体的な指導援助とともに、必要に応じても 個別的な指導援助 も、豊かな人間関係を築いていく上で必要です。

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