〈振り返り〉 |
K先生; |
S男君、やってみてどうだったかな? |
S 男; |
立ち上がりながら言ったときは、本当にやめてほしいっていう気持ち、強く出せたと思います。 |
R 子; |
ほんと、立ち上がりながら言うと嫌がってるのがわかりました。 |
F 男; |
だけどさ、観察していて、表情がないと本当にいやがっているのか、ふざけて言っているのか、わからないっていう感じがした。 |
K先生; |
そうだね。自分の気持ちを相手に伝えようとするとき、動作とともに表情や声の大きさも大事だよね。 |
以上のようなアサーション・トレーニングを何度か実施することによって、K先生の学級では、以前より自分の考えや気持ちを素直に伝え合い、受け止め合うようなコミュニケーションが見られるようになりました。
何日か経ったある日のことです。K先生は校庭に、S男の姿を見つけました。
S 男; |
(迷いながら)ぼくもまぜてよ。 |
F 男; |
みんな、どうする? |
みんな; |
いいよ。 |
S 男; |
(顔がぱっと明るくなる) |
豊かな人間関係づくりとアサーション・トレーニング |
○ |
「アサーション」
は単なる自已表現の技術ではなく、基本的人権やものの見方、考え方を含む広い意味での〈自己表現〉を意味します。その意味で、
自分を認め、相手も認めるという姿勢
が、とても大切です。 |
○ |
「アサーション」
とは「自分も相手も大切にしながら、自分の欲求、考え、気持ちを率直に素直に相手に伝える自己表現」です。自分の権利や個性を主張し、相手の権利も侵さないという相互尊重のコミュニケーションのことですから、当然、葛藤や軋轢(あつれき)は起こってきます。その場合、
お互いを大切にして歩み寄る姿勢をとり、話し合いによって解決の方法を探ろうとすること
が重要です。 |
○ |
「アサーションを実施する際に注意すること」
は、学級の子供たちの実態に即し、
計画的・継続的に行うことです。
その際、一方的な押しつけではなく子供たちの
自発性を尊重すること
、また、必ず
全員で振り返り
を行い、十分にフィードバックすることが大切です。さらに、全体的な指導援助とともに、必要に応じても
個別的な指導援助
も、豊かな人間関係を築いていく上で必要です。 |