福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -024/042page

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研究紹介

生徒のスキーマを活性化しながら、内容理解を深める指導の工夫

〜プレリーディング活動を重視した指導を通して〜



福島県立あさか開成高等学校教諭  光 井 弘 修 

I 主題設定の理由

 前任校(安達高校)は、学力向上ステップアップ事業に取り組み、大学進学率向上の実績を上げてきた。昨年度は、アクセスプラン事業を推進する中で、英語の授業に日本人同士のT−Tを取り入れ、個に応じた指導を展開した。生徒も教師の指導に熱心に応え、着実に学力を向上させてきた。しかし、英語読解指導に関しては、期待した向上がまだ見られなかった。読解の指導には3つの問題点があるように思われた。第1に、単語と文法で英文を理解しようとするボトムアップ中心の指導のため、部分的な読み方を無意識に重視し、書き手の意図を明確に理解できない。第2に、生徒は、単語と文法がわからなければ英文は読めないという消極的学習に終始してしまい、英語学習に対する興味・関心を疎外してしまう。第3に、生徒は、リーディングの本質である書き手の意図を読み取り、それを再構成していくという過程を忘れがちである。生徒に知識をつけさせようとして、教師は生徒の持つ背景的知識、スキーマ(構造化・階層化された知識の総体)を軽視し、教え過ぎの傾向があるのではないか。教師は、生徒に知識を与えるだけでなく、生徒の持っている潜在的知識を引き出すことを重視しなけれぱならない。
 昨年の入学生の実態に関しては、スタディサポート実施報告書によると、生徒の最も苦手な事項として、長文読解こ抵抗を感じる生徒が約半数であった。大学入試では、長文読解の出来がそのまま英語の合否に大きく影響を与える。従って、リーディング活動の前に、プレリーディング活動を設け、生徒のスキーマを活性化し、内容を予測させたり、仮説を形成、修正させたりする指導法を取り入れれば、より内容理解が深まると考え、研究主題を設定した。

II 研究仮説

1 研究仮説
 英文読解において、生徒のスキーマを活性化させながら、予測力を促進させ、仮を形成、修正させれば、英語を理解しようとする積極的な態度が育成され、内容理解が深まるのではないか。
2 仮説のための理論
(1) 「生徒のスキーマを活性化させる」とは
 スキーマとは、人間の頭の中に記憶された知識のまとまりである。それらをプレリーディングの中で使う準備をさせる。
(2) 「予測力を促進させる」とは
 プレリーディングの中で、ワードマッピング(任意の語彙を起点とし、自由に連想する語彙を書き、語彙と語彙を上下左右に線でつないで、


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