福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.125(H10/1998.11) -032/042page
研究紹介 相互に認め合う学級づくりに関する研究
〜構成的グループ・エンカウンターの実践を通して〜
岩代町立小浜小学校教諭 及 川 博 睦
I 研究の趣旨
本学級(5年生・38名)は4月に学級替えをし、担任も替わって新しい体制でのスタートとなった。この学年は、低学年のころから男女の仲もよく、リーダー的な児童を中心に非常によくまとまっている。いじめも不登校もない学年である。
ただ、目立たないところでは、他人を排斥したり、グループ同士あまり話そうとしなかったりと、小さな問題はある。こういう問題を内包しながらも、現在、学級はまとまっているが、昨今のいじめや不登校の増加はこういう小さな状況を放置しておいた結果であるとも考えられる。
今後、本学級の一人一人が思春期を迎えて漠然とした悩みをかかえ、友人関係や学習成績にストレスを感じることが予想され、いじめやグループ同士の対立などということも考えられる。学級の総合的な状態がよいからといって、小さな問題を放置しておくわけにはいかないのである。
そこで、心と心の触れ合いや裏腹のない人間関係を体験させるために、計画的に構成的グループ・エンカウンターを実施し、子供たちが自己理解や他者理解を深め、相互に認め合うことのできる学級集団にしたいと考え、本主題を設定した。II 構成的グループ・エンカウンターとは
エンカウンターとは「本音と本音の交流」という意味である。集団での活動を通して、心と心の触れ合いや裏腹のない人間関係を体験させることが、グループ・エンカウンターの目的である。子供たちの豊かな人間性は、他者とのリレーション(人間関係)の中で促進される。学校における温かい人間関係は、子供たちにとって学校生活への意欲の高まりやパーソナリティの成長につながるものである。
構成的グループ・エンカウンターとは、リーダー(教師)が構成した課題(エクササイズ)を集団で体験するものである。この活動を通して、子供たちはそれまで知らなかった自分自身や周囲の友達の新しい一面に気づくことができるようになる。このことが子供たちの自己理解や他者理解を促し、信頼感や自尊感情を高めることにつながるのである。III 研究計画
相互に認め合う学級づくりを行うためには、自分以外の人を受け入れること、そして、学級集団の中でお互いに支え合えるようになることが必要である。そこで、構成的グループ・エンカウンターを、リレーションづくり、相手への思いやりの増加、自己肯定の高まり、学級適応といった観点で8月から11月にかけて以下の計画で実施する。