福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -002/046page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

福島大学長 吉原泰助

 変 わ り ゆ く 大 学 

福島大学長 吉 原 泰 助

I 新制大学50周年
 今年、福島大学は創立50周年を迎えます。記念式典や祝賀会の開催、『福島大学50年史』の刊行、学術振興基金の設立など多彩な記念行事が予定されております。しかし、創立50周年は何も福島大学に限ったことではありません。第2次世界大戦後の学制改革の折り(1949年)に設立されたいわゆる新制大学は、1999年の今年、おしなべて50周年を迎えます。
 50年もたちますと、大学教員の構成ひとつとってみましても、ほとんど新制大学卒業生で占められるようになっています。かく言う私自身が、新制三回卒です。とくに国立大学は、遅いところで65歳停年ですから、一般教官に限って言うと、一昨年の3月を境に旧制卒業の教授は居なくなりました。もっとも、国立でも、学長さん方のなかには、旧制ご卒業の方が居ないわけではありませんが、数から言って、それはネグリジプルです。
 このように、新制大学は、50年をかけて、種としての純血化を達成しました。では、このことは、半世紀の間に、新制大学が高等教育機関として揺るぎない地歩を固めたことを意味するのか、と言いますと、そうではありません。逆に、大学はいま、時代が要請する改革の嵐のなかで、狂瀾に翻弄されながら、自らの針路を見いだすために悪戦苦闘しています。

II 第一の大学改革
 日本における高等教育の近代史は、維新後間もない1877年(M.10)の東京大学の創設にまで遡ることが出来ます。これをわが福島大学に重ね合わせますと、教育学部の前身の師範学校が開設されたのが、この頃(M.7=師範学校講習所;M.11=福島師範学校)です。
 その後、わが国の高等教育は、2度の大きな改革を経験し、いま3度目の改革の真っ只中にあります。
 第一の改革は、第1次大戦後の経済拡張期に推進された高等教育機関の大幅な拡充です。すなわち、1920年(T.9)には、慶応・早稲田など幾つかの私立伝統校の「大学」としての認可や東京高商の商大への昇格、愛知医科大学の設置等がなされ、その後、私立大学の認可や官立医科大学の創設が相次ぎます。
 また、時を同じくして、全国規模で高等学校・専門学校の設立プームが起こります。例を福島県とその近隣の官立学校だけに限っても、新潟(T.8)・弘前・山形・水戸(T.9)・浦和・東京(T.10)等、ナンバースクール以外の高等学校が創設されたり、横浜高等工業(T.9)福島高等商業・宇都宮高等農林(T.11)・横浜高等商業・長岡高等工業(T.12)などが開設されたりします。
 こうした第一の改革を大正の改革と呼ぷことが許されるとすれば、わが福島大学経済学部は、大正の改革の申し子として、このブームのなかで呱呱の声を上げたことになります。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。