福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -010/046page

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に遊ぼう」と働きかけ、子どもたちに訪問計画を立案させた。実際に訪問して、ふれあう中で「恐ろしいと思ったけれど、私たちと変わらなかった」「もっと遊びたい」などの障害者に対する先入観の変容を確かめるために、手紙を書く時間を位置づけた。しかし、一方的な親切の押し付けも価値あるものと混同しやすい子どもがいることが考えられるので、本当の親切とはどんなことなのかと価値の内面化を図るために、体験活動で得た子どもの思いを導入に位置づけた道徳の時間を設定した。さらに、道徳的価値の補充・深化・統合を図るために、「協力して何かに取り組む」ことをねらいとした障害者とのふれあい活動を再度計画した。

3 授業の実際
 道徳の時間に体験活動を学習過程のどの段階で、どのような方法で取り入れたらよいのかを授業研究を通して明らかにしてきた。

《本校のテーマに沿った学習過程》
本校のテーマに沿った学習過程

(1) 資料から離れ、内面的な自覚を図る段階に取り入れた場合の例
 2年の授業では、資料『ひまわり』を使い、主人公の気持ちを話し合った後、自分が育てているミニトマトの世話の仕方を振り返り、自分のミニトマトに手紙を書く活動を取り入れた。子どもたちは自分の思いを素直に手紙に書くことができた。また、資料について話し合う段階では、体験に基づき主人公の気持ちに共感しながら自分の考えを発表している子どもが多く見られた。これは、資料の内容が自分たちの体験と類似していたためと思われる。

《ミニトマトに書いた手紙》
ミニトマトに書いた手紙

(2) ねらいとする道徳的価値を今後の実践につなぐ段階に取り入れた場合の例
 4年の授業では、資料『みんなでさがしたコンタクトレンズ』を読んで話し合い、主人公に手紙を書いた後で、運動会の時応援をしている4年生を撮影したビデオを見せ、下級生のために応援の準備をしたことを想起させた。その後で、下級生からの「親切にしてもらってうれしかった」という内容の手紙を聞き、子どもたちは「うれしい」「やってよかった」「これからも下級生のめんどうをみたい」など親切にしたことに対する爽快感や満足感をもつことができた。


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