福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -011/046page

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《授業後の児童の感想「道徳ノート」から》
授業後の児童の感想「道徳ノート」から

(3) ねらいとする道徳的価値の自覚に向けて動機づける段階と資料から離れ、内面的な自覚を図る段階に取り入れた場合の例
 1年の授業では、導入の段階であさがおの種取りをしている写真や種を並べて形づくりをしている写真を見て、活動をしている時の気持ちを話し合わせた。「種があまり取れなかったので、少なくて嫌だった」「みんなで種を合わせて大きなものを作りたかったけれど、嫌だという人がいたのでつまらなかった」という発表があったので、これを取り上げ「こんな気持ちでいた友達がいたのだけれど、これでいいのかな」と投げかけ、資料『くりのみ』の登場人物であるうさぎの友達を思いやるやさしさに共感させる話し合いをさせた。
 資料から離れ、内面的な自覚を図る段階で、導入で使用した写真をもう一度提示した時、「私はみんなの種を合わせるのが嫌だと言ったけれど、合わせるとよかった」と発表した子どもがいた。体験活動をした時の思いを大切に取り上げてきたので、このような発言になったのだろうと思われる。

1年の授業

IV 研究の成果と課題

1 研究の成果
(1) 思いやりの心を育てる体験活動を意図的に仕組み、その活動に子どもが進んで参加しようとする意欲を持たせる指導を大切にしてきたことにより、生命を大切にする心や思いやりの心などが、動植物や人との関わりの中で少しずつ育ってきている。
(2) 総合単元的な道徳学習(思いやりの心を育てる道徳学習)の指導計画に基づく授業実践を行ったことで、道徳の時間やいろいろな活動への取り組みに対する教師の意識や子どもたちへの支援の仕方などが変わってきた。
 1(丸囲み) 子どもの思い・感動を大切にしながらいろいろな活動に取り組むようになった。
 2(丸囲み) 道徳の価値項目を意識しながら諸活動に取り組むようになった。
 3(丸囲み) 子どもたちへの声かけ・働きかけに留意するようになった。
(3) 教師が1単位時間の道徳の授業を総合単元的な道徳学習の中に位置付け、更に学習過程を大切にするようになった。
(4) 家庭や地域への啓蒙活動を行ってきたことにより、保護者・地域社会の道徳教育への関心が高まった。
2 今後の課題
(1) 豊かな体験活動と道徳の時間との関連を更に深め、主体的に道徳的実践ができる子どもの育成を図っていく。
(2) 「身近な」という視点で体験活動の一層の充実を図る。
(3) 家庭や地域の教育力を高める手だてについて、一層検討し、「地域の子どもは地域で育てていく」という意識を広めていきたい。


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