福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -017/046page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

【中学校2年国語】
1 「大領域」別に見た到達状況

平成7年度 平成9年度
本県通過率 全国比 本県通過率 全国比
理   解 64.4 100 64.4 100
表   現 43.5 91 44.3 92
言語事項I 35.6 88 35.3 87
言語事項II 38.7 86 39.8 88

 平成9年度の調査では、「表現」は全国平均に達しているが、他の3領域は全国平均を下回っている。また、前回の調査と比べて大きな変化は見られない。

2 「言語事項I・II」の通過率と全国比

(上段:平成7年度、下段:平成9年度)
大領域 中 領 域 本県通過率 全国比
言語事項I 単語の活用の理解 37.2
36.3
86
84
文の構成や付属語の働きの理解 33.7
34.1
90
91
言語事項II 漢字を正しく読むこと・書くこと 36.4
38.5
85
90
語句についての知識・理解 48.1
45.1
91
85

 平成9年度の調査では、12の中領域の内、「表現」の「優れた表現を求めること」は全国平均を上回っていたが、他の領域はすべて全国平均を下回っていた。中でも、上記の表からも「言語事項I」の中の中領域「単語の活用の理解」や「言語事項II」の中の中領域「語句についての知識・理解」が特に低いのがわかる。

3 授業改善に向けて
 ここでは、「単語の活用の理解」に焦点をあてて述べてみたい。
(1)文法の学習に対する抵抗感を取り除く工夫をする。
 多くの生徒が文法の学習に対して抵抗感を持つのは、文法用語や活用表の機械的な暗記などに負担を感じているとともに、文法の知識が文章理解や表現活動に有効な働きをすることを理解していないからだと考えられる。
 そこで、身近な例を通して文法の学習に対する抵抗感を取り除く工夫をし、必要性と有効性を生徒自身に気づかせる必要がある。例えば、導入の段階で次のような例文を示し、2つの文にはどのような違いがあるのかを考えさせ、その違いはどこから生まれるのかを調べさせるという方法が考えられる。

1(丸囲み) 土手の桜は、もうすぐ 咲き そうだ。
2(丸囲み) 土手の桜は、もうすぐ 咲く そうだ。

 わずか、かな文字一つの違いによって動詞の活用形が異なり、文全体の意味が異なってくることに気付かせ、興味を持たせるのである。このような文例をカードに書かせ、その数を増やしながら授業の中で随時活用させるようにしたい。
 また、次の例のように「活用形」や「活用の種類」などを意識させた短文を書かせ、発表させたりすると、文法用語の意味の理解がより確かなものになると考える。
例 「言う」の連用形と上一段動詞の連体形をともに用いて短文を作りなさい。

 なお、詳細は「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」(福島県教育センター平成10年3月)をご覧ください。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。