福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -018/046page
連載コーナー あなたもカウンセラー
〜豊かな人間関係を育む指導援助〜
教育センター教育相談部
124号 「グループ・エンカウンター」の実施による学級の人間関係づくり 125号 「アサーショントレーニング」に実施による学級の人間関係づくり 126号 「グループワーク」の実施による学級の人間関係づくり いつも明るく活発だったA子(小5)が、T先生のところに何か話したそうに近寄って来ました。
T先生; どうしたの? A 子; あのね……。 T先生; 何か心配なことがあるの? A 子; うん……。
A子は、学級の中でもリーダー的存在で、みんなから信頼されていたのですが、特に仲良しだった友達から陰口を言われ、自信をなくし、活発さもなくなっていました。
そのころから、学級全体にも活気が薄れ、ぎくしゃくした様子が見られるようになり、T先生はとても気になっていました。教師は、教育活動の中で、一人一人の子どもを生かすために、グループ活動を取り入れることがあります。しかし、それが活性化しない場合があります。
グループ活動が活性化しない理由はいくつか考えられますが、その一つに、子ども同士の人間関係の問題があると考えられます。つまり、遊びなどを通した子ども同士の集団での共通体験が十分でないため、自分を表現したり理解し合おうとしたりする態度が身についていないということです。また、子どもが肯定的に自己を捉え(自己理解)られないことや、他者から受け入れられているという気持ち(受容感)を十分にもてないということも問題であると考えられます。資料1は、児童生徒の「人間関係を育む力」の実態を調査したアンケート(4件法「あてはまる」〜「あてはまらない」)の一部です。
では、どのようにすれば、自己理解や受容感が高まり、自分を表現したり理解し合おうとしたりする力が育つのでしょうか。