福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -027/046page
研究紹介 本質をつかませるための生徒実験の見直しと精選
〜 運 動 の 法 則 を 例 と し て 〜
福島県立相馬高等学校教諭 松 岡 浩 三
I はじめに
完全学校週5日制を目前にひかえ、各教科・各科目の単位数削減、単位数見直しが強く求められている。
現在、相馬高校では物理IB+IIを普通科7単位、理数科6単位で実施しているが、来年度からはすべて6単位で行わなけれぱならない。物理を6単位で実施するのは非常に窮屈感があり、内容を消化するだけでも大変である。
従って、教科書に掲載されているすべての生徒実験を実施することは時間的に困難であり、その中のいくつかを実施したり、教師の演示実験に回しているのが現状である。
今後、6単位という制約の中で今までの生徒実験の見直し・効率化をはかり、本当に必要な生徒実験を精選していく必要がある。
精選するに当たっては、実験してみなけれぱ本質的なことがわかりにくいもの、実感しておかなけれぱならないものを最優先に考えた。II 研究の目標
今回の研究では、力学の運動方程式の実験に的を絞り、研究主題の趣旨に沿った実験の展開を試みることにした。
今までの力学分野の生徒実験は、加速度の求め方・運動の法則・運動方程式の3回を実施してきたが、記録テープを貼り付ける作業、加速度を求める計算等あまり生徒の興味・関心を弓きつけるものではなかった。
また、それら3つの実験を実施した後で、静力学と動力学の違いを本当に理解したかどうカの分かれ目となる問題(後述)を出してみると成績上位の者でも誤解していることが多かった。
これらの問題点を改良し、新しい学力観で求められているところの『興味・関心・意欲』を生徒に喚起できるような新しい生徒実験を目指して、以下のような研究目標を設定した。
《研究目標》 運動の法則およぴ運動方程式に関する2つの実験を対比することによって、静カ学と動カ学の違いを理解・納得・実感させるための生徒実験の開発 III 研究の実際と考察
1 事前調査
実験実施の前日に事前調査を行った。物理選択生54名に以下のプリントを配布し、どれか一つに○を付けさせ、回収した。
【問】 物体に力を加え続けると加速度を生じる。下の図のように、A:力学台車を200g重の力(200gを持ち上げる程の力)