福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -031/046page
研究紹介 思考活動を活発にする観察・実験、実習の工夫・改善
教育センター科学技術教育部
確かな知識・理解、技能を獲得するためには、児童生徒が自ら思考活動を行う過程を通して課題を解決していくことが大切である。
理科と技術・家庭において重視されている観察・実験、実習の工夫・改善を図り、思考活動を活発にする実践研究を行った。ここでは、その研究の一部を紹介する。I 思考活動の活発化
1 思考活動について
本研究では、思考活動を、当面の課題を解決し、事象を理解していく過程であると考え、次のような活動ととらえた。
2「思考活動の程度」の調査・分析
(1) 学習課題は何かを把握する。 (2) 結果を予想する。 (3) 課題解決のための方法や手順を考える。 (4) 工夫しながら課題解決に取り組む。 (5) 結果を、今までの体験や学習内容などと、関連付けながら、はじめの予想と比較し、検討する。 (6) 自分で考えて結論を導き、課題を解決する。 (7) 自分の考えをまとめたり、発表したりする。 (8) 新たな疑問に気付く。
「思考活動の程度」は、1の思考活動の項目(1)〜(8)について、事前と事後に行った自己評価によって調べた。
観察・実験、実習の工夫・改善が思考活動にどのような効果があったかについては、「思考活動の程度」の変容等から分析した。
3 思考活動を活発にする観察・実験、実習の工夫・改善
児童生徒の思考活動を活発にするために、次の観察・実験、実習の工夫・改善を行った。
(1) 日常生活と関わりのある素材を教材化したものづくり活動の導入 (2) 自作教材を活用した課題選択学習の導入 (3) 段階的に操作技能を高める実習装置の開発と活用 (4) 疑似体験を取り入れた観察・実験の工夫 (5) 概念のイメージ化を図る観察・実験の工夫 (6) 予想やまとめの過程を重視したワークシートの工夫 II 実践
ここでは、(1)〜(3)の実践について紹介する。III 成果
1 観察・実験、実習の教材については、次の視点からの工夫・活用が有効であった。 ○ 児童生徒にとって身近な素材を用いた教材 ○ 児童生徒が製作できる教材 ○ 実験操作が簡単に直感的に理解できる教材 ○ 日常経験や自然体験を発展できる教材 ○ 事象理解の段階を踏まえた教材 2 観察・実験、実習の展開については、次の観点からの工夫・改善が有効であった。 ○ 児童生徒が自ら選択できる実験群の設定 ○ 観察・実験の事実と因果関係を考察できるワークシートなどの導入 ○ 観察・実験が難しい事象における疑似体験などの導入