福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -034/046page
段階的に操作技能を高める実習装置の開発(中学校技術・家庭〈電気領域〉2年)
1 実習の工夫
(1) 思考活動を活発にする工夫
事象理解の過程をふまえて、段階的に実習の難易度を高めていけば、課題解決意欲が持続し、思考が活発になり、回路系の操作技能が高まると考えた。そこで、技能を獲得する過程をスモールステップ化した4段階の装置を開発した。
(2) 実習装置の開発
簡単な導通試験装置から身近にあるアイロンの故障を発見するまでの実習装置を開発した。1(丸囲み) 導通試験練習装置
見えない部分でつながっている端子を導通試験で見つける装置である。回路計の測定値を比較・分類する活動を通し、回路のつながりの事実関係をつかみ、回路計の基本操作を獲得できるようにした。2(丸囲み) 電圧測定確認装置
直列回路と並列回路でワット数が異なる電球の明るさを観察し、電球にかかる電圧を測定する装置である。この測定値から、回路の接続と明るさとの相互関係をつかむことができるようにした。3(丸囲み) 故障発見練習装置
簡単な電気回路の故障原因を見つける装置である。回路計の測定値と、故障原因との因果関係をつかむことができるようにした。
故障内容 故障1…導線の断線(1) 故障5…スイッチの故障 故障2…電池の消耗 故障6…導線の断繍(3) 故障3…豆電球切れ 故障7…ソケット内部の断線 故障4…導線の断線(2) 故障8…回路の短絡 4(丸囲み) アイロン故障発見装置
アイロンの回路展開板に故障を起こすスイッチを取り付け、スイッチがどの部分の故障を起こすのかを見つける装置である。これまでの学習と関連付けて総合的に考えることができ、確かな知識と技能が獲得できるようにした。
故障内容 スイッチ1……パイロットランプの故障(断線) スイッチ2……発熱体の断線 スイッチ3……自動温度調節器の故障(断線) スイッチ4……電源コードの断線 スイッチ5……屋内配線の断線(停電) スイッチ6……アイロン回路の短絡(ショート) スイッチ7……漏電(絶縁不良) 2 実践
3 成果
(1) 回路計の目盛りの読み等を学習した後、これらの装置を、1(丸囲み)から4(丸囲み)の順番で活用した。
(2) 実習はグループ単位で行い、グループの中では、回路計を操作する順番を決め、生徒全員が操作できるようにした。○ ほとんどの生徒が、これらの実習装置の活用に対して、深く考え、回路計の操作や理解に役立ったと評価している。また、実習を行うごとに、思考が活発になり、回路計の操作技能が高まると評価している。
○ 実習装置の活用に対する生徒の評価と事後テスト成績はともに高く、かなりの相関が見られた。このことから実習装置の活用は、知識・理解、技能の獲得に効果があった。